2017 Fiscal Year Research-status Report
マルチエージェントシミュレーションによるレジリエントな減災のための解決法の提案
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16K01303
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Research Institution | Wakayama National College of Technology |
Principal Investigator |
謝 孟春 和歌山工業高等専門学校, 電気情報工学科, 教授 (90300574)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 避難方式 / シミュレーション / 避難誘導 / マルチエージェント |
Outline of Annual Research Achievements |
地域の特徴を考慮したシミュレーションによる避難方式の検討に取り組んできた. 津波による人的被害を低減するためには,人々が速やかに避難できるような避難計画が求められている.現実に避難訓練や誘導効果の実験を行うことが難しい場所に対して,避難シミュレーションを利用することが検討されている.災害時に、避難者が安全かつ迅速に避難できる効率の良い避難誘導が必要である.従来の津波避難シミュレーションでは,エージェントに対して環境から情報伝達を行う避難誘導標識による避難への影響や,誘導員を誘導エージェントとしてモデル化した研究を行った.しかし、避難誘導における誘導員の配置条件や誘導員の避難行動による避難率への影響を検討する避難誘導シミュレーションは少ない現状がある.最適な誘導員の配置条件や誘導員の行動等をシミュレーションすることが可能となれば,自治体の防災計画の検討などの際に有用であると考えられる. 本研究では,避難エージェントと誘導エージェントからなるマルチエージェントシステムを用いて,地震後の津波が発生したとき,最適な避難誘導方法を検討するための避難誘導シミュレーションを構築した.避難者エージェントと誘導エージェントの割合や避難誘導開始時間などが避難率に与える影響をシミュレーションで検討した.避難誘導シミュレーションの有効性を検証するために,御坊市を対象とした比較実験を行った.シミュレーションの結果から御坊市の場合では,避難誘導開始人数が多ければ避難効率が減少することがわかった.また,避難者と誘導員の割合は20:1の場合は最も効率的な避難ができたこともわかった.研究成果を国際学会に発表した際に,「国民性によって誘導効果が異なるではないか」という指摘を受けた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに研究成果が得られた. 地域の特徴を考慮し,避難できる状況を避難者と誘導員とするマルチエージェントによる好ましい避難行動の多様性を検討した. ①避難シミュレーションにより誘導員がいない場合では,避難者が避難所の方角を把握できるだけでも避難効率の改善になる結果が得られた. ②構築した避難誘導シミュレーションを用いて,避難者エージェントと誘導エージェントの割合や避難誘導開始時間などが避難率への影響を検討した.避難者と誘導員の割合は20:1の場合は最も効率的な避難ができたことがわかった.さらに,誘導員の数が多ければ避難効率が減少することもわかった.
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Strategy for Future Research Activity |
①効率的な避難シナリオ設計とレジリエント減災・防災の構造化 災害時の想定される状況と発生する現象のシナリオを設計し,どのような状況でどのような現象が発生するのかを明らかにする. ②レジリエント構造化として,避難者エージェントの行動が減災への影響や学校集団での効率的な避難方式の解明を試みる.
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