2018 Fiscal Year Research-status Report
共通原因故障のリスク同定に基づく信頼性・保全性設計法の開発
Project/Area Number |
16K01308
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Research Institution | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
Principal Investigator |
弓削 哲史 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 教授 (50546041)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 信幸 法政大学, 理工学部, 准教授 (00349226)
柳 繁 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 教授 (10546039) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 共通原因故障 / 集中型故障 / システム信頼度 / 最適保全方策 |
Outline of Annual Research Achievements |
原子炉等、事故による社会的影響が大きなシステムに対して、共通原因故障(CCF) による事故リスクを考慮したシステムの信頼性・保全性設計に関する研究に 取り組んだ。 研究細目1)確率論的安全評価のための新たなCCFモデリング・解析手法の開発、では、昨年に引き続き多変量ワイブル分布モデルを用いたシステム信頼度の定式化に取り組んだ。特に信頼度の算出において、ネットワークの信頼性評価で用いられるドミネーションの原理を用いることにより、効率的にシステムの信頼度が計算できることを示した。さらに、機器故障が集中して発生する現象を新たに考案した。これは故障する機器の組み合わせが限定されるモデルであり、同時故障を起こす機器は、機器が置かれた位置と、外的ショック源との距離により決定され、近い位置にある機器は同時故障となるリスクが高いという、従来のモデルに比べてより現実的なモデルである。そのモデルを用いたCCFのモデル化について検討した。 研究細目2)CCFとその事故リスクを考慮したシステムの保全方式の確立、に関しては、最適保全方策の決定方法に関する研究を進めた。今年度は特に、設備の劣化に伴い機器の能力が低下する現象を状態空間モデルで記述し、CCFとその事故リスクを考慮した最適保全方策の性質を調べる研究。修理可能な小規模な故障と取り替えが必要な大規模な故障の2種類が発生するモデルにおいて、コストを最小にする最適保全方策に関する研究を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共通原因故障により事故リスクを考慮したシステムの信頼性設計、および保全性設計を体系化するため、本年度は、(1)多変量ワイブル分布を用いた冗長システムの信頼度の定式化、(2)集中型故障をモデル化するための文献調査、(3)複数の保全方法が存在する際に、コストと稼働率の観点から最適な保全方策を得るためのアルゴリズムの検討、(4)機器の劣化に伴い能力が低下するモデルの最適保全方策の検討を実施した。(1)の検討から、多変量ワイブル分布を用いたCCFモデリングおよびシステム信頼度の定式化に一定の成果が得られた。特にシステム信頼度算出においてドミネーションの考えを取り入れることにより計算効率が向上した。また(2)では、集中型同時故障は現在まで検討が行われていないことが判明し、今後このモデルの解析を進めることとした。(3)に関しては、システムを連続時間マルコフ連鎖で記述し単位時間当たりのコストを最小化するアルゴリズムをを示した。(4)の検討により、設備の劣化を伴う場合の解析モデルの記述が可能となり、その最適制御方策の性質を調べることで、どのような場合に修理や取り替えを行うことが適切かの判断が可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き2つの研究細目それぞれについて、計画に基づいて研究を実施する。令和元年度は、研究細目1)に関しては、集中型同時故障のモデル化と、システム信頼度の定式化を進める。特にシステムの形態に関しては、従来のk-out-of-n型システム以外に、線状連続型システム、環状連続型システムなど、機器の位置関係に依存するシステムに対して、システム信頼度の定式化を目指す。研究細目2)に関しては、CCFが稼働率およびコストに与える影響を考慮した最適保全方策の検討を進める。特に、研究細目1)で得られているCCFモデル化手法を用いて、ライフサイクルコストの観点から最適な保全方策を決定するアルゴリズムを作成し、シミュレーションと文献調査により得られた結果を比較することにより提案したCCFモデル化手法の有用性を検討する。 特に、最終年度であることから、2つの研究細目を統合し、安全関連装置全体のPSA実施要領をまとめる。
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Causes of Carryover |
研究分担者が予定していた海外での研究発表が次年度に変更になったため。また研究代表者も次年度に参加したい研究集会が増えたことを考慮し、今年度予定していた国内での研究打ち合わせの回数を少なくしたため。
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