2016 Fiscal Year Research-status Report
火山灰層の古地磁気方位を利用した巨大噴火同時発生イベントの検証
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16K01311
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
長谷川 健 茨城大学, 理学部, 准教授 (00574196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 誠 茨城大学, 理学部, 教授 (00250978)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 巨大同時噴火 / 古地磁気 / 国際比較研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、交付申請書にも記載してある通り、ニュージーランドに長期滞在して、巨大同時噴火の可能性がある事例の文献調査と、その堆積物の現地調査およびサンプリングを遂行した。 文献調査では、巨大同時噴火の典型例であるタウポ火山帯のママク/オハクリ火砕流について、最新の地質学的、岩石学的および地球化学的研究についてレビューを行った。この際は、本事例の発見者であるダーレン・グラブレィ博士(カンタベリー大学)と連携を取り、効率的に関連研究の文献調査や議論を行うことができた。その結果、本同時噴火を供給した地下浅所(約5 km)のマグマ系は、単一ではなく複数のバッチからなること、構造運動によって水平移動を行ったこと、数百年あるいは数十年という短い時間スケールの滞留を経て噴火したこと、などが分かった。 また、ダーレン・グラブレィ博士と研究協力者である岡田誠教授(茨城大)の協力を得て、ママク/オハクリ火砕流をはじめとするニュージーランドの多数の巨大噴火堆積物について、古地磁気測定のための定方位サンプリングを行った。これらのサンプルはすべての前処理が完了しており、平成29年度の測定を待つのみである。日本とは地質学的背景が異なるニュージーランドにおいて、巨大同時噴火に関する現地調査やサンプリングあるいは現地の研究者と議論を行ったことは、当該イベントの時間スケールや発生メカニズムを考察・比較研究する上で大変有意義であり、本課題研究の進展に大きく寄与するものであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、国内と海外の巨大同時噴火事例について文献調査と現地調査および古地磁気サンプリングを行い、そのイベントの検証や発生メカニズムを解明することである。計画書に記載している通り、平成28年度は海外事例として、ニュージーランドの巨大同時噴火事例について、詳細な文献調査と現地調査およびサンプリングを、現地協力者の協力も得ながら効率的に進めることができた。海外事例について現地で十分なデータを得ることは、比較研究による普遍的なモデル構築を目指す本課題研究にとって重要であり、研究目的の達成に向けて着実に進展していると言える。なお、平成28年度にほとんど着手しなかった国内事例については、平成29年度行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度にほとんど着手しなかった国内の巨大同時噴火事例について、現地調査と古地磁気サンプリングを行う。調査地域は、北海道地域と九州地域である。また現段階では、日本やニュージーランドとテクトニクス・セッティングの全く異なる大陸地殻上の火山についてのデータが不足しており、この点が課題と言える。このため、大陸地殻上の火山(たとえば北米やアフリカなど)の海外調査も行う予定である。そして、平成28年度に採取したすべてのサンプルと、平成29年度に採取した一部のサンプルについて、古地磁気測定を行い、火山灰層の古地磁気方位から巨大同時噴火の詳しい検証を行う。
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Causes of Carryover |
現地(ニュージーランド)における特殊な技術を要するサンプリングを行うため、研究協力者である岡田誠教授(茨城大)の旅費確保のため前倒し支払請求を行った。この前倒し額は余裕を持って申請したが、実際にはその額まで使用をしなかったため余剰が生じた。また、当該年度に購入予定であった消耗品類が、現地の滞在機関で使用可能であったため、これらにかかる費用も使用せず余剰分となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の通り、余剰の原因が前倒し分および滞在(相手方)機関による負担であったため、支出計画に大きな変更点はない。交付申請書作成時当初の計画通り使用する予定である。
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