2016 Fiscal Year Research-status Report
甚大な建物被害を引き起こす震源と地盤構造パラメータの解明
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16K01312
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
境 有紀 筑波大学, システム情報系, 教授 (10235129)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 深部地盤構造 / 差分法 / 震源パラメータ / 1-1.5秒応答 / 震度 / 建物被害 |
Outline of Annual Research Achievements |
甚大な建物被害を引き起こす震源と地盤構造パラメータとして,初年度は,主として,深部地盤構造に絞って検討を行った. まずは,全国の主たる活断層の中から横ずれ断層,正断層,逆断層,更には,正断層,逆断層については,傾斜角を変えて16の断層を選び出し,差分法を用いた大規模強震動シミュレーションを行った.そして,建物の大きな被害を引き起こす1-1.5秒応答を基に被害のレベルを震度換算値として計算し,どの断層で大きな被害が出るのか求めた.その結果,大阪の上町断層など,限られたもので大きな被害を引き起こすことがわかった.その一方で,これ以外については,大きな計測震度にはなるものの1-1.5秒応答は小さく,大きな被害には,ならないこともわかった. その原因を探るため,深部地盤構造と震源を入れ替えた解析を行った結果,上町断層のある深部地盤構造では,大きな被害になることが多く,逆に,上町断層の震源を上町断層以外の深部地盤構造に置いても,大きな被害にはならなかった.このことから,深部地盤構造が大きな被害に関係していると考え,1-1.5秒の地盤増幅率を求めて,被害レベルの震度換算値との対応を見た.その結果,概ね右上がりの傾向になっていて,深部地盤構造が大きな被害に関係しているという仮説が実証された. ただし,この対応関係には,ややばらつきがあり,これは,深部地盤構造だけでなく,震源のパラメータもある程度は,関係してるのではないかと考えて,どのような震源のパラメータが1-1.5秒応答と関係しているかについても,検討を行ったが,明確な対応関係は,見出せなかった.これは,次年度以降の課題となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
甚大な建物被害を引き起こす震源と地盤構造パラメータについて,深部地盤構造が大きなウェイトを占めていることが確認されたことは,大きな成果と言える.より,正確な被害予測のためには,震源パラメータとの関係についても見ていく必要があるが,初年度の成果としては,おおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,より正確な被害予測を行うため,深部地盤構造だけではなく,震源パラメータ,更には,1-1.5秒応答を引き起こす震源パラメータと深部地盤構造の組み合わせについて検討して行く予定である.
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