2019 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative study of lava dome eruptions at Sinabung and Unzen volcanoes
Project/Area Number |
16K01313
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中田 節也 東京大学, 地震研究所, 名誉教授 (60128056)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | シナブン火山 / 雲仙普賢岳 / 溶岩ドーム噴火 / ブルカノ式噴火 / 溶岩過重圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
シナブン火山では,2018年2月の大規模噴火以降は水蒸気噴火のステージに入り,2019年6月以降噴火を最後にほぼ終息した。溶岩噴出率は溶岩ドーム噴出開始時が最も多く,時間とともに指数関数的に減少した。また,低噴出率でもブルカノ式噴火が繰り返されたことが特徴である。溶岩の噴出率の指数関数的減少は雲仙普賢岳の1991-1995年噴火と類似しているが,雲仙では爆発的な噴火は初期に溶岩が大きく崩れた時にだけ起きた。シナブンでは,溶岩の組成は最初を除き,SiO2量が59-61重量%でありメルトは高シリカ流紋岩である。雲仙普賢岳では全岩組成はSiO2量が64-66重量%でメルトは高シリカ流紋岩である。温度はシナブンが約900℃に対して雲仙普賢岳は約850℃であり,石英と黒雲母斑晶が後者に含まれる。 雲仙・普賢岳では,溶岩噴出率が約0.5m3/sより小さい時は溶岩ドームが内成的成長をし,MF~LF地震が溶岩ドーム内や直下で発生した。シナブン火山では同様の低噴出率であった活動の後半にはブルカノ式噴火が頻発し,インドネシア語で「ヘンブーサン」と呼ばれるMF,LFに似た周波数や波形特性の地震が起きていた。これらのことは基本的には両火山の溶岩ドームの成長様式が,シナブン火山で爆発が繰り返されたことを除いて,よく似ていることを示している。 雲仙普賢岳で最後に火口上部に形成された溶岩尖塔は火口から約250mほどの高さがあり,シナブン火山の火口上部の溶岩の厚みが約170mと両者に80mほどの厚みの違いがある。そのためシナブン火山では溶岩の荷重による圧力が不十分であったために,火道上部に蓄積した火山ガスが繰り返し噴火を繰り返したモデルが提案された(Nakada et al., 2019)。シナブンにおいて溶岩尖塔が形成されなかった理由は,溶岩ドームが地形の急峻な山頂部にできたことが原因と考えられる。
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Research Products
(6 results)