2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K01320
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
風早 竜之介 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 活断層・火山研究部門, 研究員 (50637379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 宏志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 活断層・火山研究部門, 首席研究員 (80357194)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 水蒸気爆発噴火 / 火山ガス / 噴火活動推移予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
水蒸気爆発噴火の物質科学的なモデリングを目的として,諸火山において火山ガス(二酸化硫黄放出率及び火山ガス組成)観測を実施し,データ蓄積を行った. 具体的には,水蒸気爆発噴火の発生の可能性がある北海道の火山(雌阿寒,樽前,十勝)や吾妻山火山において火山ガス観測を実施し,火山ガス放出過程の特徴を抽出した.また,口永良部島火山の山頂に自動火山ガス組成モニタリング装置を設置した.これにより,アクセスが困難な口永良部島火山において連続的に火山ガスデータの取得が可能となった. これらのデータにより,マグマ脱ガス温度・圧力や噴火活動に関与したマグマ量を推定可能となった.これらの知見は水蒸気爆発噴火のモデリング,ひいては噴火活動推移予測の実現のために重要である. また,水蒸気爆発噴火とマグマ噴火の火山ガス放出過程の類似性・非類似性を明らかにする事を目的として,桜島のマグマ噴火前の火山ガス放出率減少についての研究を行った.マグマ噴火前の火山ガス放出率減少と地殻変動観測による浅部膨張が良い相関を示すことから,マグマ噴火前に火道に圧力隔壁が形成され,ガスが蓄積し,火道内の圧力が増加して噴火に至るという噴火モデルを構築した.この成果を国際誌(Geophysical Research Letters)に投稿し,受理,掲載されている. 口永良部島の2015年水蒸気爆発噴火の際には,桜島のマグマ噴火とは異なり,顕著な浅部膨張が観測されていないため,この地殻変動の有無が水蒸気爆発噴火を特徴づけている可能性が高い.今後はこの点に着目して研究を進め,水蒸気爆発噴火プロセスの解明に努める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた火山ガス観測データの取得は順調に進んでおり,また口永良部島火山に火山ガス組成モニタリング装置を設置する等,データ取得に必要な環境が整いつつある.一方で,マグマ噴火と水蒸気爆発噴火との対比に必要なマグマ噴火における火山灰のデータが,対象としていた火山の活動低調化によって取得できていない.この問題については研究対象火山の拡大等によって今後対応する.
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Strategy for Future Research Activity |
火山ガス観測を今後も継続し,火山ガス放出過程と噴火活動の関係を明らかにする. 当初研究対象としていた桜島火山の噴火活動が低調化したため,火山灰付着成分の解析に必要な火山灰サンプルの取得が困難な状況である.今後は研究対象を活動が活発な阿蘇火山に拡大する等の指針を取る.
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Causes of Carryover |
口永良部島火山における火山ガス観測モニタリング装置の設置等に際し,必要経費の一部を産業技術総合研究所の内部予算によって賄った.このため,当初観測装置設置として計上していた予算が次年度使用額として生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度より,産業技術総合研究所に新たに火山ガスの専門家として森田雅明氏が赴任した.今後は森田氏に共同研究者としてこの研究課題に参加して頂く.今回生じた次年度使用額について,森田氏が火山ガス観測を実施する上で必要な旅費(北海道火山及び口永良部島)等の経費に充てる.
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