2016 Fiscal Year Research-status Report
突風予測システムを核としたレジリエント・コミュニティー構築に向けた文理融合研究
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16K01327
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
古本 淳一 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (10402934)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 局地風 / 社会実装 / 文理融合 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域文化のヒアリングに精通したコーディネーターが中心となって、突風災害常襲地域である湖西地域に入り込み、地域の住民への突風災害とその予測に対するヒアリングを行い、住民の生の声を吸い上げ、その取りまとめを行なった。湖西地域には、「比良おろし」の現象自体に興味を持ち独自に気象観測を続けてきた住民がいる他、比良おろしの影響を最も受けているステークホルダーの1つである地元の小中学校の校長先生との協力関係を元に地域住民へのヒアリング調査を進めた。 「比良おろし」により頻繁に列車運行の乱れが生じるが、その地域は、京阪神域を超えて姫路、奈良までそのダイヤの乱れが発生する。列車運休時に住民からクレームを受けるのは専ら鉄道事業者であるが、鉄道事業者こそが比良おろしによる被害を最も受けていると言える。コーディネーターを中心として鉄道事業者へのヒアリング、現地調査を行い、列車の安定運行に最も必要とされている課題の探索を行った。これには、気象学の技術的素養が必要であることから気象学の研究者と協働しながら調査を進めてきた。県や沿線市町は域内の湖西線の発展を願いつつも、頻繁に運休遅延する電車の利用が伸び悩んでおり、超高齢化社会に備えた駅のバリアフリー化などでは、鉄道事業者と利害が対立することも多い。こうした利害を乗り越え地域の発展に結びつける解決策を探索した。住民への情報伝達の1つとして、比良おろしを事前に予測するシミュレーションシステムの構築を行い、平成28年度はそのシステムでの試験シミュレーションと改良を行ってきた。これらの実績を元に次年度への研究に繋げていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に実施計画で予定していたコーディネータを中心とした災害常習地域へのヒアリングおよび取りまとめは予定通り進んできた、また住民への情報伝達へ向けた取り組みについても予定通り進んでいる。一方でワークショップの開催については各機関との調整もあり、平成29年度の初めに開催することになった。ワークショップの開催時期が当初より遅れているが、それ以外の計画について順調に進展しており、概ね順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
「比良おろし」という大気現象をめぐり産官学公の様々なステークホルダーとの対話を重視したトランスディシプリナリー研究の確立とステークホルダー間の合意形成を目指したシンポジウムを開催し、様々なステークホルダーを通じた社会実装へむけた方向性を見出す。 それをもとに構築してきた突風予測システムの社会実装に向けてガバメントセクターと協働し、ステークホルダーとの合意形成を図っていく。最終的に、突風予測システムによって予測される突風予測情報を気象事業会社と共同し、携帯電話やスマ ートフォンを通じてステークホルダーに配信し、ユーザーからのフィードバックを基に一般的に社会実装していくための礎を確立する。
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Causes of Carryover |
物品購入の際やその他の支出n際に最大限安価で合理的な選定を細かく行っているため、予定していた支出額との差が生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度同様に執行の際は合理的かつ効率的な執行を行い、当初計画通りの執行を行う計画である。
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Research Products
(1 results)