2016 Fiscal Year Research-status Report
データ同化手法を用いた斜面災害に対する近未来予測手法の開発
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16K01328
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小田 和広 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (00185597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 圭吾 大阪大学, 工学研究科, 助教 (10362667)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 数値解析 / 斜面災害 / 雨水浸透 / データ同化 / モニタリング / 雨水浸透 / 斜面 / 現場計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)データ同化手法を適用したハイブリッド型斜面解析手法の開発:筆者らが開発した飽和・不飽和浸透流解析と地盤変形の連成解析をデータ同化手法のうちの粒子フィルターを使ってハイブリッド化し,ハイブリッド型斜面解析手法を開発した.また,ハイブリッド型斜面解析手法における最適なアルゴリズムの選択,データ同化を行う際に必要となるシステムのノイズの分散がデータ同化結果に与える影響について研究を行う,粒子フィルタによるデータ同化の実用的な方法の提案を行った. 2)不飽和状態から飽和状態に至る土壌の水分挙動の変化に対するハイブリッド型斜面解析手法,特に雨水浸透挙動への適用性の検証:筆者らが実施してきた現地計測結果に対し,開発したハイブリッド型斜面解析手法を適用し,土壌水分特性パラメータの同定を試みた.その結果,非常に高い精度でパラメータの同化が可能であることを明らかにした.また,同化されたパラメータを用いた検証解析は,同化に使用しなかった観測結果を再現できることを確認した.すなわち,本手法は客観的なパラメータを決定できることを確認した. 3)監視モニタリング対象斜面の抽出:人工知能技術を利用した地形情報解析に基づき,災害の危険性が比較的高い斜面を抽出した.その際,斜面の数値的な特徴付けとそれらに基づく分類・危険度評価方法として,筆者らが既に提案しているCIPを用いた.また,いくつかの候補斜面を机上分析し,モニタリングの運用の観点も含めモニタリンツ対象斜面を抽出した. 4)現場調査・モニタリング機器の設置・斜面監視モニタリング:西日本高速道路(株)から提供していただいた,モニタリングサイトにモニタリング機器(土壌水分計,雨量計)を設置するとともに監視を開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初,カラム試験を実施し,その結果を利用して開発したハイブリッド型斜面解析手法のチューニングを行う予定であった.しかし,現場計測結果を適用したところ予想以上に適合性が分かった.このため,適用事例を増やすこととした.この方針に基づき,当初予定には入れていなかった実斜面において現場計測と行う,また,過去の計測事例を袖手することとし,それらに対するデータ同化手法を適用することとした.
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Strategy for Future Research Activity |
H29-1)地下水位形成過程に対するハイブリッド型斜面解析手法の適用性の検証:斜面の不安定化は地下水の形成によってもたらされる.昨年度までは,不飽和下における雨水浸透挙動に対するデータ同化の適用性を検証した.本年度は地下水位の形成過程に対する適用性を検証する(H29年度). H29-2)近未来予測へのハイブリッド型斜面解析手法の適用性:斜面崩壊に対する危険性を予測するために、ハイブリッド型斜面解析手法を気象予報と連動させる.そのために現在の気象予報技術について調査を行う.また,逐次型更新型ハイブリッド型斜面解析手法の開発を試みる(H29年度). H29-3)斜面監視モニタリング:設置した斜面監視モニタリングシステムによって斜面監視を継続的に行う.豪雨の発生は不確実であるので監視は継続して行う(H29年度). H30-1) 実斜面における斜面監視モニタリングと降水予測に対するハイブリッド型斜面解析手法の適用性の検証と実用化に向けた課題の抽出:実斜面に開発したハイブリッド型斜面解析手法を適用する.数値解析モデル設定における斜面の不均一性の評価,必要なモニタリング点の個数,観測時間間隔等々に加え,実際の降雨予報との連動性などについて,提案手法の実用化の観点から検証し,その問題点を抽出する.さらに,それらの解決策について考察する(H30年度). H30-2)斜面監視モニタリング:設置した斜面監視モニタリングシステムによって斜面監視を継続的に行う(H30年度).
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Causes of Carryover |
物品費,その他経費における消費税等々において,当初予算との差が出た.必ずしも必要ではない物品の購入を控える目的で,予算消化ではなく次年度に繰り越すことにした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品などのその他経費に充当する予定である
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Research Products
(22 results)