2016 Fiscal Year Research-status Report
地域の災害時対応向上のためのシナリオ分岐型災害対応シミュレーションの開発
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16K01331
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
藤岡 正樹 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 講師 (70624328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 知史 高知大学, 教育研究部総合科学系地域協働教育学部門, 准教授 (40399077)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 災害 / シナリオ分岐 / シミュレーション / システム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度計画に基づき、災害シーンを生成するシミュレーションモデルの開発について、下記の3点を実施した。 ①災害シーン生成モデルの構築とシミュレータの設計および実装を行った。具体的には、複数の災害を想定し、自然災害の種別ごとに災害シーン・被災シーンをモデル化した。モデル化にはユーザインターフェースを考慮し、シーンの時系列変化をより単純に表現できる行動選択方式を採用した。シミュレータでは、時間帯を事前・直後・応急対応・復旧などの時系列に分類し、災害規模ならびに、利用者が入力した対応選択を基に複数の利用者が連動して動的なシミュレーションをおこない、被災状況を把握する手法を検討・開発した。 ② 災害毎の対応イベントのモデル化を行った。具体的には、東日本大震災、熊本地震等、過去の被災事例における時系列かつ災害エピソードの抽出及び、シミュレーション訓練を試行するケーススタディ対象の利用者に対するヒアリング調査から、被災時に発生するイベントを同定し、被災時の対応イベントをモデル化した。対応イベントは消火・救護・安否確認などの一般的なイベントに加え、津波避難・孤立・産業特性など地域の特異性を考慮したイベントが扱えるように設計した。 ③ イラストを用いたシミュレーション結果の可視化を行った。具体的には、シミュレータからは被災状況の変化が数値として出力が想定されるが、直接的な数値では、利用者の直感的な理解へと繋がらない。そこで、過去の災害のメディアデータ(写真・動画)などを基にイラストを作成し、画面にイメージとして表示する可視化を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実施体制や進捗など概ね計画に沿った研究開発が行われている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度以降は、年度計画に沿って、下記、ユーザインターフェースの実装・改良、ケーススタディの実施、訓練評価手法の検討およびシステムの公開などを実施する。 具体的には、①インターフェースの設計と実装する。図上訓練では、各テーブルにタブレット端末を配置し、各種被災状況の表示および対応イベントが直感的に入力できるように出入力インターフェースを実装する。また、プログラムは、タブレット端末およびスマートフォン用のアプリケーションとしてダウンロード可能な形で提供する。②ケーススタディの実施を行う。シミュレーションに必要なパラメータの検討やユーザインターフェースの改良を行うため、協力対象地域にて複数回にわたりケーススタディ実験を実施する。③訓練評価手法の検討を行う。ケーススタディのフィードバックおよび過去の災害データに基づき訓練を評価する手法を検討する。④公開システムを整備する。本システム全般を任意の地域の利用者が自由に利用できるようにアプリケーションおよびシミュレーションシステムを公開する。⑤訓練結果のデータベース化を行う。シナリオデータ、シーンデータ、訓練結果および訓練過程で得られた知見などを共有し、他の地域で有効活用できるようデータベース化を行う。
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Causes of Carryover |
本年度の開発では、マシンパワーを必要とするシミュレーション用サーバを必要としなかったため、タブレット端末の購入を優先した。また、開発段階であるため研究成果は学会報告に至っておらず、国内旅費等が執行されなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
サーバの購入および29年度以降に予定している調査およびケーススタディーとしてのワークショップ実施に伴う旅費・会議室利用料などに利用する。
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