2016 Fiscal Year Research-status Report
人工降雨技術を用いた山形県尾花沢市の豪雪軽減に関する研究
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16K01332
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
脇水 健次 九州大学, 農学研究院, 助教 (00240903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 浩司 九州大学, 工学研究院, 助教 (20264070)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 人工降雨 / 液体炭酸 / ドライアイス / 積雲 / 雪害 / 過疎化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,次の3項目から構成される.(1)豪雪をもたらす気象条件および積雲の特性把握:現在および過去に発生した豪雪時の気象条件{天気図,気象レーダ画像,気象衛星画像,気象データ(地上・高層)等}や積雲の特性を解析する.(2)航空機を用いた豪雪軽減実験:自衛隊機および民間機を用い,2つの拠点空港{海上自衛隊厚木基地,小松空港と2つの実験空域(秋田県沖と山形県沖の日本海)}で実験を実施する.実験内容は,航空機を用い,発達中の雪雲の雲底付近に液体炭酸を撒布する.または,積雲の雲頂付近からドライアイスを撒布する.その後,1-2時間かけて「人工雲」の変化を航空機からの目視,気象レーダーおよび気象衛星で追跡する.実験回数は自衛隊機および民間機で各年度1回,実施時期は,12,1,2月の予定.(3)解析内容:実験後,「実験の観測データに基づく解析評価」を行う.次に,実験の結果,出現した「豪雪軽減の観測シグナル」に関し,「WRFを用いた数値解析」や「雲物理を考慮した数値解析」を構築する.これらの「数値解析結果」も駆使し,雪雲のどの発達段階で,どのタイミングで液体炭酸やドライアイスを撒布すると「豪雪軽減の効果を最大化することができるか」について明確にする. 平成28年度は,(2)の人工降雨実験が,民間機(予算不足;使用料の高騰)および自衛隊機(ドライアイス発生装置の不具合)とも実施出来なかったが,過去に実施した自衛隊機を用いた実験結果(液体炭酸使用)の解析を実施した.次に,(1)と(3)の解析を行った.(1)なぜ,尾花沢市周辺に豪雪が多いのかに関し,豪雪発生時のレーダー画像や気象衛星画像も用い,雪雲の集中特性についての解析も実施した.その結果,上層風と地形により尾花沢市付近で豪雪が発生することが判明した.(3)WRFを用いた数値シミュレーションで尾花沢市付近での降雪現象を再現することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度は,当初予定していた研究項目(2)の「航空機を用いた豪雪軽減実験」が,出来なかった.その理由として,①民間機の使用料高騰により予算不足となった.②自衛隊機に積み込み使用するドライアイス発生装置が不具合となった.そこで,過去に実施した自衛隊機を用いた実験結果(液体炭酸使用)の解析を実施した.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,次の3項目から構成される.(1)豪雪をもたらす気象条件および積雲の特性把握,(2)航空機を用いた豪雪軽減実験,(3)解析.平成29年度は,平成28年度に実施できなかった(2)および(3)の研究を実施する.つまり,(2)自衛隊機および民間機を用い,2つの拠点空港{海上自衛隊厚木基地,小松空港と2つの実験空域(秋田県沖と山形県沖の日本海)}で実験を実施する.実験内容は,航空機を用い,発達中の雪雲の雲底付近に液体炭酸を撒布する.または,積雲の雲頂付近からドライアイスを撒布する.その後,1-2時間かけて「人工雲」の変化を航空機からの目視,気象レーダーおよび気象衛星で追跡する.実験回数は自衛隊機および民間機で各年度1回,実施時期は,12,1,2月の予定.(3)実験後,「実験の観測データに基づく解析評価」を行う.次に,実験の結果,出現した「豪雪軽減の観測シグナル」に関し,「WRFを用いた数値解析」や「雲物理を考慮した数値解析」を構築する.これらの「数値解析結果」も駆使し,雪雲のどの発達段階で,どのタイミングで液体炭酸やドライアイスを撒布すると「豪雪軽減の効果を最大化することができるか」について明確にする.
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Causes of Carryover |
平成28年度に実施予定だった「航空機を用いた豪雪軽減実験」が,民間航空機の使用料高騰のため,当初の予算では足りなくなった.そこで、平成28年度の残りの予算と平成29年度の予算を合算し,「航空機を用いた豪雪軽減実験」を平成29年度に実施することにしたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の残りの予算と平成29年度の予算を合算し,「航空機を用いた豪雪軽減実験」を平成29年度に実施する.使用する航空機は小松空港(愛知県小松市)にあり,そこから山形県沖の日本海まで飛行し,実験空域で航空機から液体炭酸を積雲の雲底に噴射し「豪雪軽減実験」を実施する.実施時期は冬季12月下旬の気象条件の良い一日を予定している.
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Research Products
(5 results)