深部卵巣の機能評価のための２光束ドップラー光干渉断層画像化法の開発

2017 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 16K01347
• Research Institution: Yamagata University
• Principal Investigator: 渡部 裕輝 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (00333328)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2019-03-31
• Keywords: OCT / GPU / 卵巣機能

Outline of Annual Research Achievements

光干渉断層画像化法(Optical Coherence Tomography:OCT)による卵巣機能の新しい早期診断法を確立するため，極細のロッド状レンズを試料表面から開けた微小穴から挿入し，「生きたまま」卵巣に存在する卵胞を観察するための新たなOCTプローブ技術と卵胞内の僅かな動きを評価するための単一検出・2光束ドップラーOCT技術を開発する．さらに安価なGPU(Graphics Processing Unit)を用いた超高速画像処理を開発することで，成長段階を示す形態の断面構造と生命活動を司る機能情報のリアルタイム表示を実現し，卵巣機能を診断できる画期的な解析技術を開発する．
本年度は2波長同時計測ドップラーOCTの開発を行った．本システムは2つのSLD光源から出力された光を１つの干渉計に入れて，１つのInGaAs ラインスキャンカメラ(最大ラインレート :76,263kHz，画素数:2048)で2つの干渉縞を検出するものである．２つの干渉縞を同時にカメラで検出するため，使用する回折格子，レンズから分光器の設計を行った．また物理的に2つにレンズがぶつかるのを避けるため，プリズムミラーを介した配置にすることで，2048画素の半分の1024画素で，1.3um帯と1.5um帯の干渉縞を同時に計測することに成功した．得られた画像の深さは1.3um で2.77mm，1.5um で2.92mm となっ．GPUプログラムより，1.3um帯と1.5um帯のOCT画像が同時にリアルタイム表示可能であることを確認した．
また機能情報可視化のための画像間の変化を利用するスプリットスペクトル法について検討した．生体のOCT データの場合は，干渉縞を4 分割するときにくらべ10 分割で作成したほうが最も高いSNR となった．

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

１つの検出器で2波長同時計測可能なドップラーOCTの実験系は構築できたといえる．また卵巣内のわずかな変化を抽出するためのアルゴリズムとして，スプリットスペクトル法にについて検討し，10分割程度が有効であるという結果が得られた．

Strategy for Future Research Activity

まずスプリットスペクトル法をGPUプログラムに実装し画像作成の高速化を検討する．さらに分割数を増やすことの影響を調べる．2波長同時計測ドップラーOCTにもGPUプログラムによるスプリットスペクトル法を実装する．初年度に検討した直径0.5mmのGRIN(granded index)ロッドレンズを搭載したOCTとの融合を検討する．引き続き，構築したOCTによりマウス卵巣を用いて，評価を行う．得られた結果をまとめ学会発表等を行う

Causes of Carryover

（理由）
システム開発に必要な光学部品などを購入するには，少額であったため
（使用計画）
翌年度分と合わせて，物品を購入し，システムの開発を行う予定である