2016 Fiscal Year Research-status Report
心臓イメージング計測による心筋梗塞時不整脈のメカニズム解明
Project/Area Number |
16K01356
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 賢 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50432258)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 心筋梗塞 / 虚血再灌流障害 / MALDI-TOF / TRPM4 / TRPM2 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) カルシウム感受性色素としてFluo4を用い、ラット心臓をランゲンドルフ灌流しつつカルシウムイメージングを行う系のテストを行った。
2) 心臓におけるTRPMチャネル発現の3次元マップの作成を目的とし、Matrix-assisted laser desorption/ionization (MALDI) imaging mass spectrometry(MALDIイメージング)を行った。ターゲット臓器である心臓およびコントロール臓器である精巣を、TRPC6ノックアウトマウスおよび野生型のマウスから1個ずつ採取し試料として用いた。その結果、同時に57種類以上のタンパク質の発現マップを100 umの解像度で得ることができた。心臓においては心筋特異的タンパク質であるcardiac alpha actin, cardiac troponin T, tropomyosin alpha-1 chain, titin, myosin light chain 1, myosin light chain 3, myosin-6の局在を確認することができた。
3) ヒト心筋細胞におけるTRPMチャネルの不整脈への寄与を調べる実験では、ヒトiPS細胞を心筋細胞に分化させ、細胞内カルシウムイオン濃度のリアルタイム観察および心筋収縮能の定量的解析法を確立した。虚血再灌流障害を模擬する条件として過酸化水素の投与を行い、その至適濃度を調べた。今後はTRPMチャネル阻害剤を用いることにより、虚血再灌流障害を模擬した条件下で不整脈の発生メカニズムの解明を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は3点の研究目標を持つ:1) 心臓イメージング計測によりTRPMチャネルの不整脈への寄与を解明、2) イメージング質量分析により心臓上のTRPMチャネル発現の3次元マップを作成、および3) ヒト心筋細胞におけるTRPMチャネルの不整脈への寄与を解明。 このうち1)に関してはラット心臓のランゲンドルフ灌流によりカルシウム感受性色素を作用させることに成功した。 2)に関してはMALDIイメージングを実際に行い、課題達成の問題点を明確にした。 また3)に関してはiPS分化誘導心筋を用いて虚血再灌流模擬条件による細胞障害の程度を定量的に解析する方法を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 心臓イメージング計測によりTRPMチャネルの不整脈への寄与を解明:カルシウム感受性色素Fluo4より高感度の色素を用い、より高精度な心臓イメージング計測系を確立する。
2) イメージング質量分析により心臓上のTRPMチャネル発現の3次元マップを作成:MALDIイメージングにより心臓特異的なタンパク質の検出には成功したものの、TRPC6を含めイオンチャネルタンパク質の発現を確認することはできなかった。今後はサンプル処理の方法を改善し、TRPMチャネルの分布確認を目指す。
3) ヒト心筋細胞におけるTRPMチャネルの不整脈への寄与を解明:TRPMチャネル阻害薬またはTRPMチャネルのノックダウンにより、虚血再灌流模擬条件による細胞障害への効果を調べる。
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Causes of Carryover |
予算使用額に端数が発生したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額325円は物品等の購入により使用する。
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Research Products
(1 results)