2017 Fiscal Year Research-status Report
心臓イメージング計測による心筋梗塞時不整脈のメカニズム解明
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16K01356
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 賢 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50432258)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 心筋梗塞 / 虚血再灌流障害 / MALDI-TOF / TRPM4 / TRPM2 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトiPSから分化誘導させたiPS心筋細胞を用い、虚血再灌流障害の2つのモデルを確立した。一つは過酸化水素水の投与、もう一つは低酸素曝露・再酸素化処理である。過酸化水素水投与に関し、750uMで4時間の投与が有効であることが分かった。また低酸素曝露・再酸素化処理に関しては、2%酸素で22時間の曝露後、20%酸素で2時間再酸素化を行うことにより虚血再灌流による細胞障害が模擬されることが分かった。 これらの虚血再灌流障害モデルにおいて、iPS心筋細胞の活性の低下および収縮能の低下が確認された。TRPM4チャネルの阻害薬である9-phenanthrolの前投与により、虚血再灌流障害モデルにおける細胞活性の低下および収縮能低下は減弱した。このことから、ヒト心筋細胞においてもTRPM4チャネルが虚血再灌流障害の発症に関与していることが示唆された。
心臓虚血再灌流障害に加え、低酸素・低栄養の曝露による心筋梗塞モデルをヒトiPS心筋細胞において確立した。またヒトiPS心筋細胞において、細胞内カルシウムイオンレベルのリアルタイム記録、およびミトコンドリア膜電位の記録を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでラット心臓および心筋培養細胞株で行ってきた実験系を、ヒトiPS心筋細胞の系に移行した。ヒトiPS心筋細胞を用いて心臓虚血再灌流障害のモデルを2種確立した上、心筋梗塞のモデルも作出した。心機能に関し、ヒトとラット・マウスとの間の違いが従来より指摘されている。最終目標をヒトの心筋梗塞の予防法開発とする本研究において、ヒトにおける実験系の確立の意義は極めて大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
心筋細胞における虚血再灌流障害およびそれにより引き起こされる心筋梗塞の発症過程の解明に関し、ヒトiPS心筋細胞を用いた疾患モデルへのシフトをさらに促す。iPS細胞から心臓細胞への分化誘導は目下のところ心室筋細胞のみをターゲットとしているが、今後は心房筋細胞と刺激伝導系細胞への分化誘導も行う。 この実験系において、細胞内カルシウムイオン濃度のリアルタイム記録とミトコンドリア膜電位の測定を行い、心筋梗塞発症のより精緻なメカニズム解明を目指す。 心筋梗塞発症におけるTRPM4チャネルの関与を調べる実験では、これまで阻害薬やRNA干渉を用いてきた。今後はCRISPRによるノックアウトを行い、TRPM4チャネルの関与をより厳密に調べる。
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Causes of Carryover |
必要な試薬の価格が3万円以上だったため、残高27339円が生じた。 この物品の購入を次年度に行うことにより残高を使用する。
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Research Products
(6 results)