2017 Fiscal Year Research-status Report
深層ネットからのルール抽出に基づく手首筋電による革新的インタフェースの基盤構築
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16K01357
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
福見 稔 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (80199265)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 深層学習 / 筋肉電位 / ニューラルネットワーク / ジャンケン認識 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,ジャンケン動作を対象として手首EMG(筋肉電位)を用いた動作識別と個人認証の同時実現を行う予定であった.しかし,EMG信号にかなりのノイズが重畳していることが判明し,まずはその特性を調べることにした.その結果,EMG時系列信号全体に低周波のドリフトノイズが載っていることが判明した.そこで,低周波成分の周波数を調べ,その成分を除去することにした.その結果,ほぼドリフトノイズの除去を行うことができた.ノイズ除去後に個人認証での精度を確認すると数%程度の改善効果があることが判った.今後は,ノイズ重畳の状況を精査しながら精度改善を行う予定である.また,個人認証とクラス分類の同時実現を目指す予定である.さらに,学習サンプル数はまだ少ない状況であり,サンプル数を増加させるために乱数を用いたデータ数の増量を行ってきた.しかし,乱数を用いたデータ数増量は,精度改善に限界があることも判ってきた.これは,増加させたサンプルが必ずしも学習の改善に役立っていないためと思われる.今後は,増加させた学習サンプルでの精度改善効果を検証する必要がある. 次に,深層学習ネットからのルール抽出に関してであるが,対象とする深層ネットはたたみ込み層を有するニューラルネットワークである.そのため,たたみ込み層があると,明確な形式での数式表現が困難であることが判ってきた.解決方法を検討中であるが,入力から出力層への直接的なルール表現ではなく,一度,中間層付近でのデータの分布に置き換えることを現在,検討中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度に深層学習ニューラルネットワークを用いて手首EMGによる個人認証とクラス分類の同時実現を予定していたが,EMGデータに想定外のノイズが重畳していることが判ったため,先にその対処に取り組んだ.そのため,そのノイズの特性を評価し,除去する方法を検討した.そしてノイズの特性を調べ,効果的にノイズ除去方法を開発することはできたが,個人認証とクラス分類の同時実現はまだ実施できていない.今後,早急に進める予定である.また,学習サンプル数の増加方法を従来から検討しているが,乱数に基づく増加方法は,真に有効性を発揮できているか否かの検討が不十分であることが判った.この解決方法を先に検討していたこともあり,個人認証とクラス分類の同時実現がまだ実施できていなかった. 次に,ルール抽出に関してであるが,当初の予定通りに数式によるルール表現の可能性を検討したが,深層ネットのたたみ込み層により,その数式化が難しいことが判明した.そのため,現時点でルール化のめどは立っておらず,この点は遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は,まず個人認証とクラス分類を同時に一つのネットワークで実現する.そして,同時実現の効果と欠点を評価し,同時実現の妥当性を検証する. 次に,乱数を用いた学習サンプル数の増加方法を詳細に検討し,乱数を用いた場合での有効性の評価をまず行う.このためには,入力層で乱数を加えて増加させた学習サンプルを中間層付近で一度評価する.そのために,中間付近の層で次元圧縮した空間を作成し,その空間での距離に基づいて評価する方法を開発する予定である. 一方,ルール化であるが,これも数式化は一度保留し,入力層での学習サンプルと中間層付近での表現の関係を求める方法を開発する.そして,さらに中間層付近での表現と出力層での値との関係を表現できる方法も検討する予定である.この方法により,入力層と中間層付近,中間層付近と出力層での関係をIf~thenルールで明確にする.
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Causes of Carryover |
平成29年度中に学生アルバイトの謝金で使用する予定であったが,深層学習用フレームワーク(Google製TensorFlowなど)を活用したため,深層学習を効率的に実装することができ実験費(学生用研究協力謝金)を抑えることができた.そのため,次年度使用額が生じた. 本研究に関連する人工知能分野は日進月歩であり,最新の成果はすぐに公表して成果の有効性・有用性を主張しておく必要がある.未使用額については,平成30年度の国内および海外での学会発表費用の一部として活用したいと考えている.
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Research Products
(2 results)