2018 Fiscal Year Research-status Report
がん幹細胞を生へ導く死細胞からのアラームシグナルとスイッチングマシーナリーの解明
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16K01360
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岸本 幸治 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 講師 (50280699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀村 典生 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 助教 (10632656) [Withdrawn]
宮下 知治 金沢大学, 附属病院, 助教 (30397210)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Gタンパク質共役受容体 / 酸化遊離脂肪酸 / 上皮間葉転換 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん幹細胞は放射線治療や抗がん剤治療に対して高い抵抗性を有し、再発や転移などがんの悪性化に関与する細胞とされる。なぜ、がん幹細胞は酸化ストレス下で生存することが可能となり、何ががん細胞の形質を悪性化するのであろうか?我々はまず、がん細胞の形質を悪性化するメカニズムを明らかにすることを目標とした。グリオーマ細胞をはじめ、転移性がん細胞が正常細胞に比べて非常に高いリノール酸の細胞含有量を示すことから、リノール酸酸化物によって活性化される細胞膜受容体G2Aの役割に着目した。G2Aは転移性がんに高発現していること、中でも未分化ながんやステージにあるがん細胞に高発現していることがわかった。次にG2Aの活性化や発現上昇によって、グリオーマ細胞の上皮間葉転換様プロセスが活性化され、造腫瘍活性、浸潤・転移活性および抗アポトーシス活性をはじめとする悪性形質転換に関わる生物活性が上昇することが明らかとなった。加えて、G2Aの発現抑制は腫瘍の悪性形質を減弱させることを見いだした。これらの結果から、G2Aはグリオーマ細胞の上皮間葉転換様プロセスを惹起し、腫瘍細胞の悪性化において重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に研究が進展している。G2Aは酸化遊離脂肪酸の発生を通じて周囲の環境変化を腫瘍細胞の悪性形質変化に反映させていることを明らかにした。カスペース3の移行のメカニズムにG2Aがどのように関わっているのか、がん幹細胞の酸化ストレス耐性にG2Aがどのようにかかわっているのか、については引き続き精力的に研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
カスペース3の核内移行の観点から新規NAD合成系酵素(QRPT)との関係性を生化学的、細胞生物学的アプローチを用いて明らかにする。加えて、低酸素ー再酸素化刺激を用いることで腫瘍細胞の抗アポトーシスシグナル経路にG2Aが果たす役割も検証しているところである。
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Causes of Carryover |
(理由) 大学施設に既存の機器および試薬を用いて研究が遂行できたこと、海外での学会報告も次年度以降に予定を回したため、予定額よりも研究費支出をおさえる結果となった。 (使用計画) 現在、一つ目の研究成果を論文投稿しているため、これにかかる出版費が必要となる。2つ目の論文投稿が予定されているため、これにかかる原稿校正費、投稿費用およびリバイスの実験費用が必要となる。これらの理由で合算して使用する予定である。
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Research Products
(1 results)