2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K01368
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Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
木原 隆典 北九州市立大学, 国際環境工学部, 准教授 (90436535)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 石灰化 / 骨形成細胞 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は骨形成細胞およびその他の細胞が分泌するエクソソームがどのように石灰化に関わるかその詳細を明らかにするとともに、細胞がいかにして細胞外環境下で石灰化の調整・制御を行っているかを明らかにすることで、細胞による石灰化形成機構の解明を目指すものである。 昨年度の研究で骨形成細胞のエクソソームに石灰化形成能があることがわかったため、今年度はエクソソーム阻害剤によって細胞の石灰化形成が影響を受けるか検討を行った。ヒト骨肉腫細胞であるHOS細胞をコラーゲンゲル中で培養することで初期石灰化が観察されるため、この実験系を用いてエクソソーム阻害剤を添加し、石灰化を観察した。その結果、HOS細胞による初期石灰化がエクソソーム阻害剤により抑制されることが確認できた。また、三次元的な石灰化を形成するラット間葉系幹細胞を用いて検討したところ、エクソソーム阻害剤を添加することで三次元的な石灰化構造が大きく乱れることが見出された。このことから、エクソソームは初期石灰化や三次元的石灰化の構造形成において重要な役割を担うことが明らかとなった。 また昨年度の研究で、いくつかの細胞種で細胞層の非特異的な石灰化が生じることが見出された。そこで、非特異的な細胞層の石灰化がどのような細胞種で生じるか検討を行った。その結果、大きな石灰化を形成するMC3T3-E1では細胞層における非特異的な石灰化が全く生じないこと、一方で、三次元的な石灰化を形成するラット間葉系幹細胞では細胞層中で非特異的な石灰化が生じることがわかった。これらの結果から、細胞層中における非特異的な石灰化は厳密に制御されており、そのことが形成される石灰化の構造と関連している可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨形成細胞において、エクソソームが石灰化形成にどのような形で関与しているか明らかにすることができた。また、石灰化の構造体形成において、エクソソームだけでなく、細胞層の非特異的石灰化形成能も関与しうることが見出された。こうした結果はエクソソームを基軸とした石灰化形成・制御機構の一端を示すものである。
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Strategy for Future Research Activity |
骨形成細胞によってエクソソームや細胞層の石灰化が石灰化形成に大きな影響を及ぼしていることが見出された。そのため、これらがどのように働くことで様々な構造を持つ石灰化構造体が形成されているのか明らかにすることで、本研究を進めていく。
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