2016 Fiscal Year Research-status Report
脱細胞化組織を基盤とするソフトナノ粒子複合材料の開発と心筋梗塞治療への応用
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16K01387
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
橋本 良秀 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (40638384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根岸 淳 信州大学, 繊維学部, 助教(特定雇用) (60722634)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 脱細胞化 / 高静水圧 / マイクロ加工 / 心筋修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、心筋修復を目的として種々の脱細胞化組織の作製とその条件検討を行った。研究用ブタの心臓から心筋、足から骨格筋、大動脈から平滑筋を採取し、高静水圧法および界面活性剤による脱細胞化を行った。処理条件として、高静水圧の印可圧力(600, 800, 980 MPa)、昇圧速度(65, 98, 196 MPa/min)、処理温度(10, 30 ℃)、処理時間(10, 20, 30 min)と界面活性剤(ドデシル硫酸ナトリウム(SDS), ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(TritonX-100))の濃度(0.1, 0.5, 1.0%)、処理時間(6, 12, 24 hr)を系統的に組合せた。高圧脱細胞化処理後の組織をヘマトキシリン・エオジン染色および残存DNA定量により評価したところ、種々の条件による細胞除去に顕著な差は認められなかった。しかし、昇圧速度に依存して組織構造の変化が観察された。一方、界面活性剤処理組織では、低濃度では部分的に細胞残渣が観察され、高濃度では細胞除去が達成されるものの、顕著な組織構造破壊が認められた。以上の結果に基づき、脱細胞化法として高静水圧法を用いることとした。次に、作製した脱細胞化組織の加工について乾式カッティングミルを用いて検討した。刃の回転速度、時間を変化させることで組織のマイクロサイズ化を試みた。得られた組織を走査型電子顕微鏡にて観察した結果、素材となる組織に依存して得られる組織形状が異なることが明らかとなり、平滑筋は繊維状、心筋および骨格筋は平板状であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、年度後半からの交付決定であったが、本研究の基盤材料の一つである脱細胞化組織の作製条件を決定した。脱細胞化組織の加工に関しても簡易な装置を導入することで、効率的かつ安定して作製するシステムを構築し、研究のさらなるスピードアップが期待できる。また、予備検討であるが、動物を用いた研究に着手した。以上より、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に作製した脱細胞化組織ともう一つの基盤材料であるナノゲルの複合化について検討する。まずは、ナノゲルの合成に取り掛かる。その後、複合化材料の評価として電子顕微鏡観察、物性測定、組織化学的評価を行い、その特性について明らかにする。さらに、細胞を用いた遊走試験を行い、種々の結果をフィードバックすることで処理条件などのブラッシュアップを行う。
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Causes of Carryover |
当初は、脱細胞化組織の作製条件の検討を終了後、直ちに次の実験に移行できるように大量に作製し保存する予定であったが、保存条件などの検討が必要であることが分かり、大量生産することを中止した。そのため、試薬などの消耗品費が大幅に削減されたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度から繰り越した予算は、合成に必要な少額備品の購入に使用する。また平成29年度の予算は、当初の予定通り、消耗品の購入と学会参加に当てる予定である。
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Research Products
(2 results)