2017 Fiscal Year Research-status Report
脱細胞化組織を基盤とするソフトナノ粒子複合材料の開発と心筋梗塞治療への応用
Project/Area Number |
16K01387
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
橋本 良秀 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教 (40638384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根岸 淳 信州大学, 繊維学部, 助教(特定雇用) (60722634)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 脱細胞化生体組織 / ECMゲル / 高静水圧 / ナノゲル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、基盤材料である種々の脱細胞化組織とシャペロン機能を有する疎水化多糖ナノゲルを複合化することにより心筋の線維化抑制と心筋修復を両立する新規治療システムを構築することを目的としている。 H29年度は、脱細胞化組織と疎水化多糖ナノゲルを架橋により複合化することを目的とし、疎水化多糖ナノゲルの側鎖に重合性官能基(アクリロイル基、メタクリロイル基)を導入した重合性ナノゲルの合成を行った。次に脱細胞化組織をミルを用いて粉末加工後、重合性ナノゲルと単純混合し、マクロゲル化の挙動について検討した。脱細胞化組織粉末の配合量を増加させるほど、集積化される傾向が観察されたが、ハンドリングが悪いことがわかった。新たに架橋剤であるチオール基あるいはアミノ基を有するポリエチレングリコールを添加することで、ハンドリング性を向上させつつ、脱細胞化組織を高配合できることがわかった。しかしながら、使用する脱細胞化組織により粉末サイズや形状が異なるため、均一なゲルを作製することが難しい。そこで、脱細胞化組織とナノゲルのみを用いてハンドリング性の良い均一なマクロゲルを作製するために、脱細胞化組織の可溶化を試みた。可溶化条件などの検討を行い、ECMゲルの作製方法を確立した。現在、これらのECMゲルとナノゲルの複合化について検討を続けている。 一方、脱細胞化筋組織を複合化したマクロゲルの皮下埋入試験において、血管新生の誘導能が低いことが明らかとなった。現在、再現性の確認と新たな脱細胞化組織の作製を鋭意進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に心筋修復への関与が期待される心筋、骨格筋、平滑筋の脱細胞化処理および条件の最適化について検討した。本年度はこれらの脱細胞化組織とナノゲルとの複合化を行い、その基礎評価を進めた。しかしながら、動物を用いた皮下埋入試験において、想定していたレベルでの血管新生が認められなかった。本研究では脱細胞化組織が有する血管新生因子が心筋再生のキーファクターと考えており、使用する組織を変更あるいは追加する必要性が生じた。最近報告された論文において、小腸粘膜下組織や膀胱組織において顕著な血管新生能があることが示されていたため、これら組織の脱細胞化に取り組んだ。そのため、当初の予定からは遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に作製した新たな脱細胞化組織を用いて、ナノゲルとの複合化し評価を行う。その後脱細胞化組織/ナノゲル複合材料あるいは脱細胞化ECMゲル/ナノゲル複合材料を用いて、研究分担者と共に心筋梗塞モデルを用いた治療実験を行う。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた国際学会(TERMIS)が今年度にWorld Congressとして行われることになり、参加しなかったため次年度に繰り越した。 今年度は、消耗品に加えて、疾病モデル動物を作製するため動物の購入に使用する。
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Research Products
(5 results)