2017 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質‐DNAハイブリッド分子ナノ構造体導入による細胞リプログラミング
Project/Area Number |
16K01388
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
三重 正和 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (40334528)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Rep / DNA-タンパク質ハイブリッド分子 / タンパク質導入 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は転写因子タンパク質ーDNAハイブリッド分子を構築し、複数種類の転写因子タンパク質を提示したナノ構造体を細胞内に導入し、細胞をリプログラミングすることを目的とする。研究開始から2年目となる平成29年度は、初年度に引き続きDNAータンパク質ハイブリッド分子作製法の開発および複数転写因子の導入の実現性を検討した。 前者においては、初年度に開発したウイルス由来Repを利用したDNAータンパク質ハイブリッド分子作製法の改良を行った。ここではハイブリッド分子作製に利用するRep分子のNおよびC末端に存在する配列の欠損体を作製することによりRep自体の最小化を試みた。その結果、従来用いていたRepよりも、20アミノ酸ほど短いRepにおいてもDNA結合活性が保持されていることが明らとなった。 一方、複数転写因子導入の実現性を検討するためにcoiled-coil 構造を形成するペプチドを融合した転写因子および緑色蛍光タンパク質を作製し、coiled-coil構造ペプチドを介して両者を同時に細胞内に導入することが可能であるかを検討した。細胞内導入能を有する転写因子とGFPをcoiled-coil構造ペプチドを介して複合体形成させ細胞に添加したところ、細胞内導入を有していないGFPの蛍光が細胞内で確認された。このことからcoiled-coil構造ペプチドによる非共有結合を介して形成された複合体を細胞内に導入可能であることが示され、複数転写因子の導入も可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
非共有的にタンパク質同士を結合させることにより、複数タンパク質を複合体として細胞内に導入可能であることを明らかにしたが、DNAを介した複合体形成と細胞内導入に関する研究が予定通り進行していない。
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Strategy for Future Research Activity |
複数タンパク質の複合体を形成させるためにDNA-タンパク質ハイブリッド分子の構築を行っているが、今後もハイブリッド分子構築に利用するRepを融合した転写因子の活性評価など課題は多い。一方、coiled-coil構造を形成するペプチドを使用することにより複数転写因子同時導入の実現が可能であることが示唆された。そこで今後は、DNA-タンパク質ハイブリッド分子の検討を行いつつ、ペプチドを利用した同時導入についても検討し、最終目標であるタンパク質導入による効率的な細胞リプログラミングが実現可能であるかを検討していく。
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Causes of Carryover |
研究の遅延により、細胞のリプログラミングにまで至らなかったため。 細胞リプログラミング実験において、抗体等の購入に充当する。
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