2016 Fiscal Year Research-status Report
次世代MRI/NMRのための磁性流体によるシミングの基礎検討
Project/Area Number |
16K01403
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野口 聡 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (30314735)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 超伝導マグネット / MRI/NMR / 磁性流体 |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代NMR/MRIのシミング手法を開発するために、該当年度では、①REBCO線材内の遮蔽電流解析ツール開発、②REBCOマグネットの設計高速化、③磁性流体のシミュレーション・ツール開発に取り組んだ。 ①REBCO線材内の遮蔽電流解析ツール開発では、まずシミング前に正確に不正磁場を評価する必要があることから、これまでの有限要素法と薄膜近似を組み合わせた数値計算手法の問題点の解決を図った。これまでの薄膜近似では、運転電流による効果が考慮されていなかったので、より高精度化を目指し、新たな薄膜近似を開発し、数値シミュレーション・ツールに組み込んだ。 ②これまで、NMR/MRIの設計では、膨大な計算量が必要であり、それまでに申請者が提案したREBCO層1枚1枚の高精度評価による設計が現実的ではなかった。そこで、ルジャンドル関数のシフト・オペレーター技術を活用することで、設計手法の高速化に取り組んだ。 ③磁性流体のシミュレーション・ツール開発では、これまでの有限体積法によるシミュレーション手法がシミングのための解析には不向きであることが判明した。有限用体積法では、流体の分離や粒子のスピン効果の影響を簡潔に組み込むことが難しい。そこで、それらの効果が反映しやすい粒子法による解析手法に変更した。現時点で、ほぼシミュレーション・ツールが完成しており、現在は、理論値との比較を実施している。しかし、粒子法では有限要素法による電磁場解析とのカップリングが難しく、現在は境界積分法などと組み合わせることを目指し、定式化を実施している。 これらの成果の一部は、国際会議Applied Superconductivity Conferenceで発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁性流体の解析手法として、有限体積法を採用したが、本研究には不向きであることが確認された。そこで、粒子法による解析手法の開発に着手しているが、磁性流体の解析手法開発としては、やや遅れいている。その一方で、新しい薄膜近似手法など、次年度以降の計画がすでに終了している部分もあり、研究全体としては、おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、MRIやNMRでの計測時に使用するパルス磁場を磁性流体に印加した時の磁気的挙動を検討する。マグネット中心付近での、磁場均一度を常に高く保ちたいが、パルス磁場を印加した際に磁性微粒子のスピンが回転運動(歳差運動)を起こし、磁場均一度を乱す可能性がある。その現象などをシミュレーションにより明らかにするために、有限体積法による磁性流体シミュレーション・コードを開発してきたが、スピンの影響を考慮することが難しいことが明らかになったため、粒子法による磁性流体シミュレーション・コードの開発に変更した。今後は、磁性流体シミュレーションと電磁場シミュレーションをカップリングさせ、詳細なシミュレーション・ツールの開発に着手する。 さらに、高磁場下での磁性流体の実験的検証も検討する。実際には、岡山大学(金錫範教授)が所有する2テスラ・マグネットを使用し、磁化曲線や発生磁場などの計測を実施する。 また、新しいシミング手法として遮蔽電流を超電導線材に能動的に発生させる手法を新たに検討することとした。これまでに提案した磁性流体による手法よりも安価で現実的であるため、新しいシミング手法として成立するかをシミュレーションにより検証する。このシミュレーションには、これまでに開発した新しい薄膜近似と有限要素法の併用により実現できる。 これらの成果は、国際会議Magnet Technology 2017および21st International Conference on the Computation of Electromagnetic Fieldsなどで公表する予定である。さらに、IEEE Transactions on Applied Superconductivityなどの学術論文に投稿していく。
|
Causes of Carryover |
計画通りに使用してきたが、国際会議参加費などの為替による影響で残額が発生した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も国際会議参加費など、為替に影響する支出があるので、それらの調整に使用していく予定である。
|
Research Products
(4 results)