2017 Fiscal Year Research-status Report
慢性腎臓病発症予測バイオマーカーとしての尿中L-FABPの前臨床研究
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16K01404
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
片山 泰章 岩手大学, 農学部, 准教授 (70436054)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 洋 岩手大学, 農学部, 教授 (00726606)
宮崎 雅雄 岩手大学, 農学部, 准教授 (20392144)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 腎線維化 / 猫 / 慢性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は猫の慢性腎臓病モデルの作成に取り掛かった。 腎虚血再灌流障害により腎障害を惹起することによりモデルの作成を試みた。腹部正中切開後に左腎の腎動脈及び腎静脈を露出し、それぞれ60分間クランプすることにより虚血再灌流による一時的な片側急性腎障害を惹起した。1回目の手術から2週間後、同様の方法で左腎の虚血再灌流障害による一時的な片側性急性腎障害を再度惹起した。2回目の手術から2週間後に右腎を摘出した。術後、経時的に動物の腎機能および腎形態をモニタリングし、腎の慢性変化(線維化など)を確認した。左腎のみとなった実験猫は一時的に高窒素血症に陥ったが、その後約2週間かけてクレアチニン値は正常域に復した。術後1ヶ月で経皮的生検により組織検査を実施したが、腎間質の線維化などは確認されず、健常右腎の組織像と同様であった。 腎虚血再灌流モデルでは腎臓に与えた障害は一時的なものであったため腎の線維化まで至らなかったと判断し、代替法としてげっ歯類等で実施されている片側尿管結紮モデルの作成を試みることとした。実験猫は左尿管を吸収糸で結紮することにより水腎を惹起した。左尿管結紮手術から4週間後、左尿管を結紮部位よりも近位で切断し、その切断端と膀胱を吻合し尿路を再開通させた。術後、腎盂拡張の改善をもって腎機能の改善とした。尿管膀胱吻合手術(尿路再開通)から2週間後に右腎を摘出した。術後、経時的に動物の腎機能および腎形態をモニタリングし、腎の慢性変化(線維化など)を確認した。左腎のみとなった実験猫は一時的に高窒素血症に陥ったが、その後約2ヶ月かけてクレアチニン値は正常域に復した。しかしながら、尿路再開通時及び術後1ヶ月、2ヶ月での生検サンプルの組織検査では、腎間質の線維化、炎症細胞の浸潤などが確認されたため、本モデルをもって腎線維化モデル(CKD stage1)モデルとすることにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
腎線維化モデルの作成が遅れている。現在、さらに2頭モデル数を増やしL-FABPの変化を啓示的にモニターする予定である。また、L-FABP測定に関しては、既存のものよりも高感度なELISAキットが開発されたため、それを用いて測定する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
片側尿管結紮モデルの頭数を増やし、腎線維化と腎機能、L-FABPの推移を血液学的及び組織学的に検討する予定である。
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