2017 Fiscal Year Research-status Report
非アルコール性脂肪肝炎の診断と発癌リスク分析に向けた脂肪酸音響マッピングの創成
Project/Area Number |
16K01406
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
丸山 紀史 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (90375642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清野 宗一郎 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (00773326)
山口 匡 千葉大学, フロンティア医工学センター, 教授 (40334172)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脂肪酸 / 肝臓 / インピーダンス |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪酸単独ならびに脂肪酸処理後の培養細胞において、AMS-50SI改(本多電子、計測範囲: 2.4mm x 2.4 mm)を使用して音響特性を検討した。なお、計測に際してはリファレンスとしての溶媒の特性を考慮した上で測定を行った。 まず脂肪酸のインピーダンス(×106kg/m2/s)は、中心周波数80MHz振動子での計測条件下で、炭素数と二重結合数に依存していることが示された。すなわち炭素数が少ないほどインピーダンスが高く、同じ炭素数の場合は、二重結合数が少ないほどインピーダンスが高値であった。しかしcis型の場合は逆に、二重結合数が少ないほどインピーダンスが低値であった。このように炭素数ならびに二重結合の存在は、超音波の伝搬に深く関与していることが推測された。 肝組織(STAMマウス)のインピーダンスの検討では、コントロール(n=5)は1.72であったのに対し脂肪肝(n=6)は1.74と高値であった(p=0.05)。一方、NASH(n=4)では1.70と低値であった(p=0.04)。肝組織の脂肪酸濃度を検討すると、NASHでは脂肪肝に比べてパルミトオレイン酸が高い傾向を示し、オレイン酸(p<0.05)とアラキドン酸(p<0.005)は有意に高値であった。一方、ドコサヘキサエン酸はNASHで低い傾向を示した。脂肪酸単独でのインピーダンスは、オレイン酸、パルミトオレイン酸とアラキドン酸はコントロールに比べて有意に低く、ドコサヘキサエン酸では有意に高かった。すなわち、脂肪酸の音響特性と組成が、脂肪肝での高インピーダンス所見とNASHでの低インピーダンス所見を説明しうるものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脂肪酸の音響特性について、脂肪酸単体ならびに脂肪酸処理後培養細胞での成績を得ることができ、両者に一定の対応を確認することができた。また、脂肪酸の分子生物学的特徴と音響学的性質との関連性も示された。さらにマウスモデル肝組織における画像所見についても、脂肪酸の特性を反映した結果を得ることができた。発癌関連の検討が十分に行えていない点を考慮してやや遅れていると判断したが、次年度に検討できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であるため、これまでの成績を詳細に吟味した上で、臨床検体での検討に進む予定である。そして脂肪肝およびNASH診断に関わる音響分析を包括的に行って画像システムへ展開したい。またマウス検体と臨床検体を利用して、発癌の視点から肝組織脂肪酸組成と音響特性の関連を検討する予定である。
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