2017 Fiscal Year Research-status Report
慢性心不全患者に対する、下肢陽圧負荷心エコー図検査による予後予測効果に関する検討
Project/Area Number |
16K01410
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松本 賢亮 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (00749195)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 秀和 神戸大学, 医学研究科, 講師 (20590342)
|
Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
|
Keywords | 負荷心エコー図検査 / 急性前負荷負荷 / 慢性心不全 / 収縮予備能 / 拡張予備能 / 予後規定因子 / 心血管イベント |
Outline of Annual Research Achievements |
この度の研究では、連続120名の心不全患者に対して下肢陽圧負荷エコー図検査を施行し、その後平均20ヶ月間にわたり心血管イベントを観察した。この時心血管イベントは、心血管死亡、心不全死、心臓突然死、および心不全による入院の複合エンドポイントと設定し経過観察したところ、観察期間中に30名の患者において心血管イベントが認められた。イベントが認められなかった患者群においては、下肢陽圧負荷中にstroke work indexが有意に増加し(3280±1371から3857±1581 mm Hg・mL/m2へ; P<0.001)、そのとき左室拡張期充満圧はごく軽度の上昇にとどまった(E/e′, 16±10から17±9へ; P<0.05)。一方、心血管イベントを生じた患者群においては、Frank Starling機序が適切に働かず(stroke work index, 2863±969から2903±1084 mmHg・mL/m2へ; n.s.)、同時に拡張期左室充満圧の著明な上昇所見が認められた(E/e′, 19±11から25±14へ; P<0.001)。このとき、収縮予備能の認められなかった患者群および拡張予備能の認められなかった患者群ともに、そうでなかった群に比べ心血管予後は有意に悪かった(P<0.001). Cox proportional-hazards解析を用いた多変量解析では、下肢右往圧負荷中のstroke work indexおよびE/e′の変化量が、それぞれ心血管イベントの独立した規定因子であることが証明された。下肢陽圧負荷検査中における収縮予備能および拡張予備能の評価は、収縮能の低下して慢性心不全における予後を予測するツールとして非常に有用であることが判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の成果は昨年のヨーロッパ心臓病学会で口頭発表することができ、また今年のCirculation: Cardiovascular Imaging誌に受理していただくことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
論文として受理されたため、本研究は一旦の結論が出たものと考えている。今後はこの度の結果をさらに発展させるべく、肺高血圧症、収縮能の保たれた心不全、あるいは先天性心疾患患者などを対象にしてこの度の知見を応用してゆきたいと考えている。最終的には多施設共同研究を立ち上げ、本法の有用性を広く世に問いたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由としましては、今夏にヨーロッパ心臓病学会への出席を予定しており、同学会出席のための経費として計上していたためでございます。したがいまして、次年度使用額に関しましては学会出張日に当てるつもりです。
|
Research Products
(2 results)