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2016 Fiscal Year Research-status Report

LED白色光を用いた新規殺菌法の開発

Research Project

Project/Area Number 16K01423
Research InstitutionToin University of Yokohama

Principal Investigator

徳岡 由一  桐蔭横浜大学, 医用工学部, 教授(移行) (30339907)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 蓮沼 裕也  桐蔭横浜大学, 医用工学部, 助教 (70643013)
池上 和志  桐蔭横浜大学, 医用工学部, 准教授(移行) (30375414)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords黄色ブドウ球菌 / Staphylococcus aureus / 発育抑制 / LED白色光 / 連続光 / パルス光 / Staphyloxanthin
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、LED白色光照射によって黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus、以下S. aureus)が死滅するという現象について、その細菌殺細胞効果の機序を明らかにし、実用化に向けた基礎的知見を得ることである。
平成28年度の研究成果は、以下の通りである。
細菌細胞の発育抑制に対するLED白色光至適照射条件を検討するため、LED光源のシャッター・コントローラの開発を行い、任意のタイミングでON-OFF可能なLED白色パルス光照射システムを構築した。そして、標準菌株S. aureusに対して、種々の照射エネルギーでLED白色連続光およびパルス光を照射したところ、いずれの場合も照射エネルギーの増加に伴いS. aureusの発育抑制効果は増加することがわかった。さらに、同一照射エネルギーで比較すると、パルス光の方が連続光より発育抑制効果が高いことが明らかとなった。これは、パルス光における光未照射時間において、活性酸素種生成にかかわる酸素が細菌細胞内に補給されるためと考えられる。次に、種々の培地を用いてLED白色光照射による発育抑制効果を検討したところ、ポルフィリン化合物や還元性物質を含む培地では発育抑制効果が著しく低下した。これらの結果から、LED白色光照射による発育抑制効果は光増感作用による活性酸素生成と、それに伴う殺細胞効果に起因することが明らかとなり、さらに外因性光増感物質を用いていないことから、S. aureusの代謝産物が光増感作用を引き起こしていることが推察される。
また、LED白色光照射による発育抑制機序を明らかにするため、光照射後の細菌細胞の細菌細胞分裂時間を測定したところ、光照射された細菌細胞は分裂時間が延長することが確認された。さらに、カロテノイド系色素と共培養した細菌細胞における光照射実験系を確立することができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初、平成28年度ではカロテノイド系物質共培による効果の変化およびStaphyloxanthinの抽出分離と活性酸素種発生の観察を行う予定であった。前者に関しては、カロテノイド系色素と共培養した細菌細胞における光照射実験系を確立することはできたものの、十分な結果を得るには至っていない。既に、カロテノイド系色素の産生遺伝子発現量については検討を開始した。また、後者に関しても若干作業が滞っており、細菌細胞からのStaphyloxanthinの単離には至っていない。
その一方で、平成29年度実施予定であるLED光照射装置の改良については、既に検討を開始した。これは、S. aureus発育抑制のための実機の開発を視野に入れた際、開発期間を考慮し、その至適条件を早期に見出すことは必須と考え、早々にスタートした。その結果、上述の通り、光照射システムに関する有用な知見を見出した。

Strategy for Future Research Activity

平成29年度以降は、S. aureusのStaphyloxanthin産生遺伝子の発現量と発育抑制効果とを比較し、Staphyloxanthinによる光増感作用について詳細に検討していく予定である。まず、培地の種類および共培養物質によってStaphyloxanthin産生遺伝子発現量がどのように変化するかを明らかにし、それを基にStaphyloxanthinの効率的な抽出方法を検討する。さらに、抽出した色素の光増感反応による活性酸素種の生成および同定を行う予定である。
さらに、LED白色光照射による発育抑制機序の解明を目的に、当初の予定通り、LED白色光照射に伴う細胞障害の観察を、電子顕微鏡を用いて実施する。さらに、Staphyloxanthin以外の代謝産物による光増感作用の有無を検討するため、細菌細胞からの各抽出成分を、HPLCを用いて分取すると伴に、その光増感反応の有無を、ESRを用いて検討する。
また、引き続きLED光照射装置の改良を行う。光学フィルタを用いて波長を分割し、照射エネルギー量を測定する予定である。その結果を、細菌細胞の発育抑制に対する波長依存性およびS. aureusの代謝産物による光増感作用の波長依存性に対する結果にフィードバックする。

Causes of Carryover

平成28年度の後半より、LED光照射装置の改良を開始した結果、必要な消耗品類の選定と購入が遅れた。そのため、繰越金が生じたものである。
平成28年度は、発育抑制に対する光照射時間依存性、並びにパルス光の影響について検討した。その後、細菌細胞の発育抑制に対するLED光の波長依存性に関する検討の必要性が高まってきた。そして、LED波長の分割には、光学フィルタを用いることとした。特に、LEDの特徴的なブルーライトのみを効率よく分割できるフィルタを選定する必要があった。また、実験の継続性と、これまでのデータとの比較のために、フィルタ透過後の目的波長領域の照射エネルギー量がほとんど減衰しないフィルタを選定する必要があった。そこで、国内、海外メーカーのカタログを参考に、フィルタ選定を進めたが、残予算と必要な光学部品等の価格が折り合わず、年度内での購入を見送ることとした。

Expenditure Plan for Carryover Budget

LED白色光から特定の照射波長を選択できる光学フィルタの選定および組合せの検討を進める。繰越金については光学フィルタおよび光学部品の購入に充てる。
フィルタ透過後の照射光とフィルタなしの照射光との照射エネルギーの差を調べ、光学フィルタによる波長分割と照射エネルギー量との関係を調べる。その結果を、細菌細胞の発育抑制に対する波長依存性、並びにS. aureusの代謝産物による光増感作用の波長依存性に対する結果にフィードバックする。

  • Research Products

    (2 results)

All 2017 2016

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] Staphylococcus aureusに対する白色LEDを用いた発育抑制効果機序の検討2017

    • Author(s)
      金沢浩平, 蓮沼裕也, 高橋篤史, 大城真奈, 齋藤潔, 池上和志, 徳岡由一
    • Organizer
      第28回日本臨床微生物学会総会・学術集会
    • Place of Presentation
      長崎ブリックホール/長崎新聞文化ホール/長崎県医師会館
    • Year and Date
      2017-01-20 – 2017-01-22
  • [Presentation] Study of phototherapy for Staphylococcus aureus using white LED devices.2016

    • Author(s)
      Kohei Kanazawa, Yuya Hasunuma, Masashi Ikegami, Yoshikazu Tokuoka
    • Organizer
      Toin International Symposium on Biomedical Engineering 2016
    • Place of Presentation
      Toin University of Yokohama
    • Year and Date
      2016-10-29
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-01-16  

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