2017 Fiscal Year Research-status Report
交流磁場併用による抗がん剤薬理作用増強効果を利用した新規化学療法の開発
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16K01424
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小林 誠 金沢大学, 附属病院, 臨床検査技師 (20460355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柿川 真紀子 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (10359713)
山田 外史 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 連携研究員 (80019786)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 殺細胞効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗がん剤を用いる化学療法はがん治療にて欠かせない治療法の一つであるが、重篤な副作用やがん細胞の薬剤耐性化などの問題があり、抗がん剤の使用にはより安全で有効性の高い投与方法が求められている。これまでの研究において、シスプラチンの投与に交流磁場曝露を併用することによりヒト肺がん由来培養細胞において殺細胞効果が増強されることを確認している。シスプラチンは肺がん化学療法において最も頻繁に使用される抗がん剤の一つであり、投与患者数も多数にのぼる。また交流磁場は医療現場においてMRI断層撮影装置などにも使用されるなど、人体に照射する際に比較的安全性が高いと考えられている。本研究で使用する交流磁場曝露条件で培養細胞に交流磁場のみを曝露しても、細胞死に影響がみられないことを確認している。抗がん剤投与時に交流磁場を併用することでシスプラチン投与にて得られる薬理効果はそのまま維持しながら生じる副作用を軽減させることが可能になれば、患者および医療関係者の負担を大幅に減らすことが出来る。本研究では、ヒト肺がん由来培養細胞にA549細胞を、正常細胞にBEAS-2B細胞を用いて交流磁場曝露によるシスプラチンの殺細胞作用を測定し比較することで、現在の治療方法であるシスプラチンのみ投与の条件に比べ、交流磁場曝露を併用することにより殺細胞効果を高められることを示すとともに、低侵襲で安全性の高い併用方法であると示すことを目的としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度も引き続き、ヒト肺がん由来培養細胞にA549細胞を、正常細胞にBEAS-2B細胞を用いて交流磁場曝露によるシスプラチンの殺細胞作用を測定しその効果を比較した。また、本年度は作用増強のメカニズムの探索のため、アポトーシス解析などを行った。これらの検討により本技術開発の基礎的なデータが順調に集まっている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き、抗がん剤の殺細胞作用増強に関わるメカニズムの探索を行う。細胞死に関わる分子機構を中心に多角的に解析する予定である。そして最終的に、肺がん由来培養細胞と正常細胞における作用増強や副反応の程度を比較し、併用療法の特徴についてまとめる。研究期間内に得られた結果は、学会発表などを通じて成果報告を行う。
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Causes of Carryover |
本年度に計画した解析の一部について、次年度に計画する解析で併せて行うことを検討している。そのために本年度予算の一部を次年度に残すことにした。
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