2017 Fiscal Year Research-status Report
小児筋疾患を対象とした新しい6分間歩行試験とピッチアップ法の再現性及び感度の評価
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16K01435
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
西澤 公美 信州大学, 学術研究院保健学系, 助教 (90573379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴 直子 信州大学, 医学部附属病院, 医員 (00639289)
中村 昭則 信州大学, 医学部, 特任教授 (10303471)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | DMD / 活動量 / 運動機能評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は,Duchenne型筋ジストロフィーを対象とした新しい6分間歩行試験と従来の6分間歩行試験の再現性(ICC=0.8)と感度(臨床的に意義のある最少変化量=9.2m)を示した.しかし,患者の症状の進行が顕著であり6分間歩行の繰り返しの実施が困難になりつつある現状を受けて,H29年度は6分間歩行試験より負荷の少ない持久力等評価法の検討を行うこととした. そこでまず活動量計と筋ジストロフィーの行動評価ツールであるNorth Star Ambulatory Assessment(以下,NSAA),10m走行時間,床からの立ち上がり時間を新たな指標とし,それらがDMDの運動機能評価ツールとして相応かについて検討した. その結果,活動量(歩数および消費エネルギー量),NSAA,10m走行時間,床からの立ち上がり時間はおおむね6分間歩行同様,DMD児の運動機能を反映していることが分かった.しかし6分間歩行試験は運動機能(歩行機能)の中でも持久力の評価法として用いられ,瞬発的評価よりも長期的な評価が求められるため,これらの評価の中でもとくに活動量が注目された.活動量は歩数と消費エネルギー量にて求めたが,両指標ともステロイド投与前後の機能改善の過程が10m走行などの運動機能と同傾向を示し,非侵襲的かつ日常生活にて測定可能であることからも有用なツールと考えられた. しかし今回は試行的に1~3名を対象としての評価であったため,次年度からはさらに対象を増やし,かつ長期的な検証の必要もあると考える. 一方で,症状の進行が顕著となってきた患者に対し新たな課題も見えてきている.1つは足関節を中心とした関節拘縮による運動機能の低下と,小学校での運動制限についてである.これらに対する対応策を研究として展開していくことも視野に入れたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究はDMDの運動機能評価の再現性と感度を検討することから開始された.計画当初は患者の来院頻度が少ないことが予想されたため,データ収集に時間がかかると思われたが,低頻度でも確実に来院する患者が増え,定着したこともあり当初の目標の再現性および感度,また6分間歩行試験よりも負荷の少ない評価方法の検討について結果を出す事ができた.今までの実績を基盤とし,H30年度もさらに筋ジストロフィーの運動機能評価について発展させた研究を展開したい.
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度では,H29年度に着手した6分間歩行試験に代わる運動機能評価の検討の応用として,活動量計,NSAAなどの運動機能の評価を対象数とデータ収集数を増やして実施する. 一方で,症状の進行が顕著となってきた患者に対し新たな課題も見えてきている.1つは足関節を中心とした関節拘縮による運動機能の低下と,小学校での運動制限についてである.これらに対する対応策を研究として展開していく方針である.
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Causes of Carryover |
H29年度研究費申請の時点では,平成29年度に国際学会(世界筋学会)にて発表を行う予定であり,その費用を旅費に計上していたが,授業や診療業務の都合により出張ができなくなったため,次年度使用額が生じた. 平成30年度は,世界筋学会にて発表を行う予定であるため,次年度使用額の一部を使用する予定である.また,次年度は最終年度のため,論文投稿に関する費用としても使用する予定である.
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