2017 Fiscal Year Research-status Report
多波長光イメージングによる3次元血流情報の獲得と循環器系デバイス定量評価への応用
Project/Area Number |
16K01444
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
迫田 大輔 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (40588670)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 可視・近赤外分光 / 非侵襲イメージング / 人工臓器 / 循環器疾患 / 血液適合性 / 医療技術評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度において開発した、最大8波長の高速フィルタチェンジャーと高速カメラからによる高速多波長イメージング装置を用いて、循環器デバイス内または血管内血流の3次元流速情報を獲得できるかを実際に試みた。 体外循環用遠心血液ポンプおよびチューブから成る模擬循環回路を構成した。回路一部を分岐して並列回路を構成し、流路途中で血管壁厚さ約1mm、直径3-4mm程度のブタ頸動脈を接続した。回路の塩化ビニルチューブ内と血管内を流れる血液それぞれについて、波長600~720nm、20nm間隔で撮影を行った。高速カメラのフレームレート4000fpsに対し、フィルタチェンジャーの回転数を3000(50Hz)にし、チェンジャの回転位相と撮影周期を同期させることで、各波長について500fpsでイメージングすることができた。各波長の高速カメラ撮影動画の流速解析を行い、波長が長くなる程動画内の平均流速が増加していくことを確認した。これは短波長の方が血液侵達深さが浅いため壁近傍の流速しかイメージングできないのに対し、波長が長くなるにつれて高流速となるチューブまた血管の中心付近までイメージングでいるからであると考えられた。即ち各波長でのイメージング結果を組合わせることで、3次元血流情報を抽出可能であることを証明できた。 また、開発した高速多波長イメージング装置によって、任意の波長イメージングを行うことが可能であることに注目し、応用として循環器デバイス内血小板の蛍光イメージングが可能であることを検討した。蛍光試薬としてメパクリンまたはローダミンを使用して、当研究グループで開発中の動圧浮上遠近血液ポンプ内の軸受部の血小板流動の高速蛍光イメージングを達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の最重要点である、波長を変えることで血液内光侵達深さを段階的に変更したイメージングを高速に行うことに成功し、当初の計画の通り3次元血流情報を抽出できることを証明し、本研究をおおむね順調に進めることができた。これに加え、開発システムの応用として、循環器デバイス内の血小板流動高速蛍光イメージングも達成できた。動圧浮上遠心血液ポンプ内の軸受部は、100000[1/s]以上の非生理的な高せん断領域であり、せん断刺激による血小板活性の主領域であり、内部血流速は5 m/sも達し、これは生体内血流速と比較して100倍近い。循環器デバイス内は生体内では考えられない高速流動域が存在するが、その関心領域について動的な血小板活性を達成できたことは画期的であり、人工臓器工学の発展に大きく寄与できる成果と考えている。また、本研究による光を用いた循環器デバイス内モニタリングの臨床への応用としての製品化研究にも着手することができ、本成果の臨床応用への準備も進められている点は、当初の計画以上の進展となった。
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Strategy for Future Research Activity |
3次元血流情報の実現可能性を証明することができたが、次の課題はその定量性であり、壁せん断速度を実際にイメージング結果から求め、その結果と流体力学モデルとの比較検討を行う。また、開発装置を活用した派生研究である、動圧軸受内血球細胞流動の高速イメージング研究、光による遠心血液ポンプ内血液凝固連続モニタリング装置の製品化研究に着手していく。
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Research Products
(8 results)