2018 Fiscal Year Research-status Report
関節不動に伴う筋線維芽細胞の発現と治療手技の効果判定
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16K01450
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
松崎 太郎 金沢大学, 保健学系, 助教 (10401910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細 正博 金沢大学, 保健学系, 教授 (20219182)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ラット / 関節包 / 筋線維芽細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定ではラット後肢膝関節を創外固定を用いて不動化した関節拘縮モデルに対し、研究者が作成したCPMを用いて様々な様式の関節可動域運動を行い、関節構成体の変化を病理組織学的に観察する予定であったが業務上の都合によりCPMを完成する事が出来なかったため予備実験で作成した「徒手的に可動域運動を行った動物」を用いて検討を行った。 後肢膝関節の後部関節包に対し、免疫染色による二重染色(α-SMA抗体、CD34抗体)を用いて検討を行ったところ、固定を行った群でα-SMA抗体に反応し、CD34抗体に反応しない細胞が対照群に対して有意に増加していた。この細胞は筋線維芽細胞と考えられ、筋線維芽細胞は組織の修復および線維化に関与していると考えられているため関節包の線維化への関与が示唆される。運動群では同様の細胞が見られたものの固定群のように顕著ではなかった。 また後部関節包の染色結果でα-SMA抗体には反応しないがCD34抗体に反応する組織が固定群で多数観察された。CD34抗体に反応することからこの組織は血管内皮細胞と推測されるが、血管としての形を成してはいなかった。これらのことは関節不動により関節包内に微細な毛細血管が侵入するが、関節運動により欠陥構造が消失あるいは阻害される可能性を示唆している。一方で近年、局所の代謝が急速な組織においてテロサイトという細胞が代謝をコントロールする、という報告があり、この細胞はCD34に陽性を示すとされている。関節不動を行った関節包においてα-SMA抗体に反応する組織とは別に血管の新生/消失、または新たな組織環境の変化を示す細胞が発現している可能性という、新たな興味深い事象が観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
関節不動モデル動物の作成および徒手による関節可動域運動を行ったものは標本として作成済みである。また、昨年度に購入したCPMの作成を行っており、当初の予定通り拘縮モデル動物に対し治療を目的とした関節可動域運動を実施して標本を作成し、現在までに作製した標本と併せて検討を行い、学会発表および論文執筆を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定であったCPM作成のための機器は購入済みであり、現在作成・調整に取り組んでいるところである。また、動物モデルにおいては2019年度中に拘縮モデルを追加して作製し、それらに対して治療手技を加え、標本数の充足を図る予定である。 研究成果についても現在までの結果について論文執筆・学会発表を行う準備をしている。
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Causes of Carryover |
当初の計画ではCPMの作成および治療を目的とした関節可動域運動を実施する予定であったが、当初の予定より附属病院における診療時間の増加、資格取得のための研修のため実験遂行および論文執筆に関わる時間を確保することができなかったため未使用額が発生した。 2019年度は標本数の充足および現在までに作製した標本について検討を行い、論文執筆および学会発表を行う予定である。
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