2016 Fiscal Year Research-status Report
最大筋収縮時磁気刺激法の作用機序の解明と臨床応用に関する研究
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16K01454
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
峠 哲男 香川大学, 医学部, 教授 (80197839)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 敦夫 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (80117548)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 脳磁気刺激 / 最大筋収縮 / 運動機能障害 / 上肢筋力低下 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、筋疲労の程度が筋力と運動ニューロン興奮性に与える影響について、3名の正常成人において実施した。被験者を椅子に座らせ、安静な状態で右母指と人差し指によりボタン状ひずみゲージ(NEC/Avio製)を、合図により最大筋力で摘ませ、ひずみ圧を筋力の指標としてコンピューターに取り込み記録した。最大筋収縮の時間は5、15、30、60秒間のいずれかとし、各筋収縮開始の1秒後から筋収縮終了まで、運動誘発電位の活動時閾値上の刺激強度で上肢運動野に0.2Hzで経頭蓋磁気刺激を加え(最大筋収縮時磁気刺激)、右手第一骨間筋と母指球筋に誘発される運動誘発電位を運動ニューロン活動の指標として記録した。この筋収縮と磁気刺激を10分間の間隔で4回繰り返して1クールとした。翌日に筋収縮時間を変化させてもう1クール行い、筋力と運動誘発電位の変化を観察した。結果として、筋収縮時間が15秒の場合に筋力増強が認められたが、今後さらに被験者数を増やして統計的に解析を行う必要がある。 正常成人5名に対しては、単発刺激、二連発刺激、およびプラセボ刺激による最大筋収縮時磁気刺激を10分間隔で5回繰り返して行い、その刺激効果について比較検討した。1回の筋収縮時間は2秒とし、二連発刺激の刺激間隔は共同研究者の丸山らの研究結果から1.5秒とした。効果の指標として、右手親指とし土佐市指によるつまみ筋力と運動野の磁気刺激により誘発される右手母指球筋と第一骨間筋の運動誘発電位を継時的に記録した。結果としてプラセボ刺激と単発刺激に比較して二連発刺激においては筋力がより増強する傾向を認めた。運動誘発電位の振幅・面積については2群間で有意差を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では、初年度においては、単発と2連発の経頭蓋磁気刺激法の効果の比較に関する研究に並行して、筋疲労の程度が筋力と運動ニューロン興奮性に与える影響に関する研究を行う予定であった。しかし、研究連携者の移動による人員不足や必要な被験者を集めることができなかったなどの理由により、筋疲労の程度が運動ニューロン興奮性に与える影響に関しては、数名の被験者において実験を実施したが、尚、統計的比較を行うためには十分なデータを収集できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、単発と2連発の経頭蓋磁気刺激法の効果の比較に関する研究に関しては、あと数名の被験者を増やして単発刺激よりも二連発刺激の有効性を確認する。筋疲労の程度が筋力と運動ニューロン興奮性に与える影響に関する研究に関しても被験者を更に増やして、統計的な解析を行い、最大筋収縮時磁気刺激による筋力増強に最も適切な筋収縮時間を決定する。 その研究結果を得て速やかに、脊髄、末梢神経障害による筋力低下に対する最大筋収縮時磁気刺激法の有用性に関する臨床試験を開始する。尚、本臨床研究に関しては当大学医学部論理委員会の承認をすでに得ている。
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Causes of Carryover |
実験のための消耗品が今年度では支出が少なかったために、次年度の実験の消耗品費として計上した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験用ペースト、電極代、データ記録用USBに使用する。
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Research Products
(4 results)