2016 Fiscal Year Research-status Report
上肢・体幹運動による有酸素運動の下肢末梢循環に与える影響
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16K01459
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
渡部 一郎 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (50241336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長門 五城 青森県立保健大学, 健康科学部, 助教 (20457740)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 有酸素運動 / 上肢体幹運動 / 末梢循環障害 / サーモグラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
近年下肢切断の70%の原因が糖尿病である。糖尿病では、薬物・栄養指導のほか、運動療法が必ず導入されるようになったが、近年の糖尿病の下肢切断の増加は、運動療法強度や手法の不適切な導入がむしろ糖尿病病態、特に下肢血流障害の原因となることが示されてきた。申請者のこれまでの研究では、低強度の有酸素運動強度の、歩行・エルゴメータ運動では、下肢のみの運動療法となるため足趾の末梢循環障害が現れることを報告した。有酸素運動強度の運動指導は糖尿病や下肢血流障害に繊細な配慮が必要なことが示された。今回の検討では、サーモグラフィやサーミスタを用いた皮膚温を連続評価した、歩行運動と、ノルディック杖を用いた上肢・体幹運動を加えた同じ歩行速度の運動療法を行い、有酸素運動強度、心拍数、末梢循環状態を検討した。上肢・体幹運動を加えることにより有意の酸素消費量・有酸素運動強度の増加が示される一方、サーモグラフィやサーミスタによる上下肢(とくに下肢母趾)の皮膚温は、有意に増加せず、症例により、上肢体幹運動の付加すなわち有酸素運動強度の増加により下肢皮膚血流の改善が示された。初年度の研究成果であるが、この成果はインパクトあるため、初年度12月に投稿し、Biomedical Thermology Vol26,2017(2)に原著論文として採用されている(2017年2月)。今後の研究は、歩行による有酸素運動に上肢体幹運動を付加し運動強度を増加する意義と、上肢体幹運動を付加しても運動強度を同等または減少したほうがよいかなどの研究の発展性が示され2面目の研究計画を立案し遂行する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は、研究計画の立案と実験環境整備を行い、大学生男子=健常人による上肢体幹運動の有無によるトレッドミル歩行による有酸素運動を計画、執行した。その結果、初年度ではあるが、原著論文と採用されるレベルの研究成果が得られ、投稿し採択された。さらに研究方法やモニター指標の見直しでさらなる有意義な成果が得られる可能性が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、健常人主体の上肢体幹運動の有無によるトレッドミル歩行による有酸素運動を計画、執行し、初年度ではあるが、原著論文と採用されるレベルの研究成果が得られた。さらに研究方法やモニター指標の見直しでさらなる有意義な成果が得られる可能性が期待される。原著投稿した論文では、歩行速度を共通にし、ノルディック杖を用いた上肢体幹運動の有無による統計学的優位性を示したが、この上肢体幹運動の付加は、有酸素運動強度を有意に増加したため、全身性の運動強度の増加が下肢血流を改善したか、上肢体幹運動が下肢血流を改善したか、明確にできなかった。29年度は、上肢体幹運動の付加による有酸素運動強度が影響しないよう、下肢歩行運動群と、上肢体幹運動群の最終的な運動強度が同等となるような、歩行速度の設定などの調整を行い、より意義ある研究となるよう実験計画を進める
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Causes of Carryover |
顕微鏡による毛細血管血流装置による下肢末梢循環評価装置の購入を検討し、京都JMC社との開発に協力し、2016年6月に会社訪問した際、なお精度・再現性に機器の改善が望まれたため、初年度の購入を見合わせたため初年度の物品費が予算通りとならなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
数年前の文科研で購入した上肢手指用の顕微鏡による毛細血管血流装置は保有しており、観察姿勢や工夫で下肢に用いることは可能であり、その手法を検討する。一方、高精度・動画撮影可能なサーモグラフィが実用化されており、足底評価項目など詳細に検討していく。
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Research Products
(4 results)