2016 Fiscal Year Research-status Report
テレコミュニケーションを用いた吃音幼児の遠隔セラピーに関する研究
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16K01466
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
原 由紀 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (50276185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水戸 陽子 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (70721984)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 吃音 / テレコミュニケーション / 遠隔治療 / リッカムプログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究の目標としては、①テレコミュニケーションによる遠隔治療に関する情報収集をすることと、②吃音幼児に対して、実際にスカイプによる遠隔治療を実施し、実施上の問題点を抽出することにあった。 ①については、2017年11月に開催されたアメリカ言語聴覚士学会(ASHA)に参加し、言語療法の遠隔治療に関するセミナーやポスター発表を聴取し、多くの情報を得ることができた。本邦では、テレコミュニケーションを用いた遠隔治療の実施自体が少なく、言語療法の分野では未開拓と言わざるを得ないが、ASHAでの報告は、吃音に限らず様々な領域でなされており、非常に大きな可能性を感じた。吃音に関するこの分野の報告では、研究代表者と交流のあるBrenda Carey氏の研究が引用されることが多く、世界でのその研究の位置づけを再認識することができた。 ②については、これまでリッカムプログラムによる治療を実施していた症例で、定期的な来室が困難になった2症例(復職と出産)に対して、パイロットスタディーとして、スカイプによる遠隔指導を実施した。1例は、スカイプは未使用の症例で、母親がiPhoneを用いたメールでのやり取りを行った後に、スカイプを実施した。もう1例は、既に仕事でスカイプ会議を実施していたために、比較的導入に抵抗がなかった。途中で、画像が写らなくなるなどの機器トラブルが生じたので、導入方法の説明も含め、機器操作、IT操作に強いスタッフの関与が必須であった。今回は、リッカムプログラムがある程度進行した状態でスカイプに移行することができたが、指導法を理解できた後でないと難しいと思われ、スカイプ導入時期についても検討が必要と考える。また、メールでのやり取りだけの時よりはお互いの理解を確認できるため、指導もスムーズに行うことができ、来室困難な場合に、有効性が高いと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パイロットスタディーでスカイプを開始した2事例のうち、1例は、機器トラブルにより定期的な実施が困難であり、不定期の実施になってしまった。もう1例は、出産のための中断する時期がどうしても生じてしまった。このため、対面でのリッカムプログラム実施例との比較が現段階では、難しくなっている。ただし、この2事例は、問題抽出のためのパイロットスタディーと考えていたので、今後、課題等を整備して、本格的な症例を集める予定である。 これ以外に対面セラピーを実施してきた症例の内、2例の母親が妊娠し、中断する状況になっている。この2事例はセラピーが順調に進んでいたので、予定外ではあるが、今後の経過を追いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、3歳半健診後に吃音の治療を求めて来室したケースに対して、対面でのリッカムプログラムを実施し、治療成績を追う予定である。さらに、今後は、最低でも2週に1回の来室が困難な場合は、スカイプの導入ができるように整えていきたい。このため、知識のある専門家の協力を要請し、安定したスカイプ環境設定と、方法説明なども作っていく予定である。対面グループと遠隔治療グループで新しく3例~5例ずつは確保したいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、オーストラリアのBrenda Carey氏の元で、遠隔治療についての実際を見学に行く予定をたてていたが、氏の体調不良のため、実施できなかった。このため当初の予定額を下回ることとなった。また、スカイプ等の運用のための専門知識のある方を探したが、適当な方が見つからなかった。このため、予定していた謝金を使用しなかった。さらに、機器備品を整える予定であったが、パイロットスタディーのための機材は安価なものを使用し、既存のPCを用いたため、支出がすくなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、リッカムプログラムのワークショップの企画を支援しながら、遠隔治療に関する支援者を募っていく予定である。そのための支出が見込まれる。 また、本年度実施した結果より、現在使用中のPCよりも容量の大きなPCと、ハードディスク等が必要であることがわかったので、それらの機材を整える必要がある。 また、機器に詳しい専門スタッフを募る予定である。
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Research Products
(6 results)