2017 Fiscal Year Research-status Report
テレコミュニケーションを用いた吃音幼児の遠隔セラピーに関する研究
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16K01466
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
原 由紀 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (50276185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水戸 陽子 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (70721984)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 発達性吃音 / 遠隔治療 / テレコミュニケーション / リッカムプログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、頻回に来室が困難な発達性吃音のある子どもとその家族に、テレコミュニケーションによる遠隔治療を実施し、来室による治療を行った同症状の子どもとの治療効果を比較、遠隔治療における治療効果とその課題を明確にすることにある。 2016年度は、テレコミュニケーションによる遠隔治療に関する国内外の情報収集と2例のパイロットスタディーにより問題点抽出を行った。2017年度は、対象数を増やし、テレコミュニケーションによる遠隔治療の継続。対面による治療の継続と両治療効果の測定を実施した。 対象者は、遠隔治療が4名(脱落1名)。対面治療が4名(脱落1名)。いずれも継続フォロー中である。遠隔治療群も、初回は来室し、評価、説明を受けている。また、2ヶ月に1回程度は来室をして、対面での症状、テレコミュニケーションを用いた治療に関する確認を行っている。脱落理由は、妹弟の誕生と家庭の事情により継続困難となったことによる。他の症例6例は、全例、順調な経過をたどっている。テレコミュニケーションの課題としては、ネット上のトラブルをその場で解決できずに、治療が中断した期間が生じたことが一番大きい。ITに知識のある専門家の支援が必須と考える。また、テレコミュニケーションによる遠隔治療も、次回の予約を必ず取るなどの治療構造を明確にしておくことが、治療の継続に必須と考える。
本年度は、上記に加え、今回治療法として用いているリッカムプログラムの日本での実施状況調査を行った。その結果、発達性吃音の直接的介入を実施している治療施設が不足していること、必要な治療を行うためには、遠隔治療の活用が必須である状況を確認し、第10回アジア環太平洋音声言語聴覚学会学術大会(2017.9.17,千葉)にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対面治療であっても、遠隔治療であっても、妹弟の誕生等の理由により治療に参加継続が困難な事例が生じたのは、幼児期の治療を行う上で、仕方のない事情といえる。脱落者はいるものの全体としては支障なく進行している。小学校に入学した児もいるが、リッカムプログラムは順調に進んでおり、それまでに、ステージ2という間隔をあけた治療段階にすすんでいる。今後、引き続き継続フォローが必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
治療継続と、症例の増加が必要である。また、この方法が、どこでも実施できるように、リッカムプログラムの治療効果を安定させるためのマニュアル作り、遠隔治療を成功させるための条件を整理したマニュアル作成を行う予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 2017年度は、対象家族にスカイプのためのタブレット等を供給する必要が生じなかったので、想定以上に使用額を抑えることができた。 (使用計画) 2018年度は、対面、遠隔治療、両方の治療が継続、増加する見込みであり、あらたなタブレット購入の可能性と、教材、データ保存のためのハードディスクが必要である。治療遂行にあたっての補助人員の雇用を行う予定である。
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Research Products
(12 results)