2019 Fiscal Year Research-status Report
テレコミュニケーションを用いた吃音幼児の遠隔セラピーに関する研究
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16K01466
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
原 由紀 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (50276185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水戸 陽子 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (70721984)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 発達性吃音 / 遠隔治療 / リッカムプログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は、頻回に来室が困難な発達性吃音のある子どもとその家族に、テレコミュニケーションによる遠隔治療を実施し、来室による治療を行った吃音のある子どもとの治療効果を比較、遠隔治療における治療効果とその課題を明確にすることにある。 これまで、テレコミュニケーションによる遠隔治療に関する国内外の情報収集とパイロットスタディーにより問題点抽出を行った上で、継続的な遠隔治療を実施してきた。遠隔治療の内容は、厳密な指導規則のあるリッカムプログラムである。 対象者は、近隣保健センターからの紹介や、リッカムプログラムを強く希望したが遠方のため来室困難という理由で紹介された親子である。 このうち、①低年齢児(3歳台以下)は、対面の面談とメール連絡により症状軽減できるケースが複数いることがわかった。②4歳以上の児については、来室可能な家族は、来室による指導を実施し、難しい場合に遠隔治療を用いた。 テレコミュニケーションの媒体も、双方が使用しやすいように、SkypeからZoomに変更し、安定的に利用が可能となった。また、予め親子のセッションの動画または音声をDropboxにアップしてもらい、研究者は、セッションの前にそれを確認、課題と注意事項を準備し、テレコミュニケーションによる面談の際には、要点を伝え、運用上の疑問に回答する形式で、従来の時間よりも短縮した時間で面談を修了でき、かつ、手法の獲得もスムーズに行う事ができた。 2019年度は遠隔治療を継続し吃音の改善に至った1例の経過報告を日本音声言語医学会で報告した。その際、リッカムプログラム臨床研修協会の講師であるBrenda Carey氏に指導いただいた。また、リッカムプログラムに関するセラピストに対する臨床相談をWEB会議により月に1回実施し、直接指導だけでないテレコミュニケーション活用の有用性を確認するに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、長期に安定して遠隔治療を継続した1例が吃音が軽減し、ほぼ終了を迎えることができた。この間に必要な支援方法等も明らかになり、得られる情報は大きかった。WEB会議自体が、一般的になってきて、症例側の理解も進んできている。
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Strategy for Future Research Activity |
治療継続と、遠隔治療要件の整理。 他の手法(メール相談)も含めたプロトコール作成と報告を行なっていく。
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Causes of Carryover |
昨年度、国際学会での発表を予定していたが、研究代表者主催の学会を開催したため、その業務多忙で国際学会への参加ができなかった。次年度は、成果報告を国際学会(アメリカ言語聴覚学会2020)で行ないたいと考え、その旅費と参加費を予定している(約30万円)。また、リッカムプログラムの遠隔治療実施にあたってのマニュアル作成のための指導助言をBrenda Carey氏(リッカムプログラム研修委員会講師)から得ようと考え、その費用と翻訳料を予定している。この他に指導継続症例のための教材・人件費を予定している。
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Research Products
(5 results)