2017 Fiscal Year Research-status Report
運動器障害で生じる広範囲慢性痛の病態解明:若齢期の特異性によるバイオマーカー探索
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16K01472
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
櫻井 博紀 常葉大学, 保健医療学部, 准教授 (60454419)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 慢性痛 / 運動器 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動器障害により広範囲に生じる慢性痛のメカニズム解明を進めるために、独自に開発した運動器慢性痛モデルを用いて、慢性痛の発症・維持要因を探る。特に、若齢期において慢性痛が発症しにくいことに注目し、生後の発達過程により変化する因子が関与している可能性を考えている。そこで、行動学的検討を踏まえ、障害部位である筋だけでなく、痛みが広範囲に拡がることから脊髄レベルおよび血液での解析を継時的に行うことにより、慢性痛発症・維持要因の新たなバイオマーカーを提案する。それにより、運動器慢性痛のメカニズムの解明と効果的な慢性痛リハビリテーションの基礎の構築につなげる。これまでに、筋損傷による運動器慢性痛モデルを9週齢(成熟)および3週齢(若齢)において作成し、末梢における筋損傷が長期痛み行動を引き起こすトリガーとなる可能性が考えられるため、障害筋である下腿三頭筋および反対側の下腿三頭筋の凍結試料を作成した。その凍結試料において、サイトカインであるTNFα、IL10や、MyoD、Myogeninといった筋特異的成長因子、抗酸化酵素(SOD)の解析を行った。また、本モデルでは障害部から離れた足底部、さらに反対側まで両側性に痛みが拡がるため、脊髄凍結試料を作成し、脊髄における可塑性発現の時間的・空間的な拡がりに注目し解析する。そのため、運動器慢性痛モデルを同様に作成し、9週齢(成熟)および3週齢(若齢)において脊髄組織および血液サンプルの採取を行った。これら脊髄組織で、神経栄養因子、サイトカイン、細胞内シグナル伝達系、また、血液サンプルにおいて上記に加えてバイオマーカーを検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脊髄組織で、脊髄での感作や神経の成長に関与すると考えられる神経栄養因子、免疫系に関わるサイトカイン、細胞内シグナル伝達系や、血液サンプルにおいても筋損傷に関与するバイオマーカーを、免疫組織、PCRおよび ELISA法により解析を検討中であるが、標的に最適と考えられる物質の決定に時間がかかっており計画から遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
脊髄組織で、脊髄での感作や神経の成長に関与すると考えられる神経栄養因子、免疫系に関わるサイトカイン、細胞内シグナル伝達系や、血液サンプルにおいても筋損傷に関与するバイオマーカーを、免疫組織、PCRおよび ELISA法により解析を継続して行っていく。その際、さらに関連文献の検索、関連分野の研究者からの情報も含めて、最適な解析を検討していく。
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Causes of Carryover |
慢性痛の発症・維持要因を探る。若齢期において慢性痛が発症しにくいことに注目し、生後の発達過程により変化する因子について、脊髄組織、血液サンプルを用いて検索するサイトカイン、神経栄養因子などの関与する物質として、標的に最適と考えられる物質の決定に時間を要しており、本解析に進めれていない状況であり、標的・解析法が決定次第、翌年度分と合わせて本解析に着手していく。その際、種々の抗体および薬品が必要で、それに応じてディスポーザブル器具・溶液作成のための試薬の購入が必要である。また、関連分野の情報の収集や実験打ち合わせ、学会、研究施設間の移動等の旅費も必要である。
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Research Products
(1 results)