2018 Fiscal Year Annual Research Report
Reorganization of motor output projections after brain damage
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16K01489
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
肥後 範行 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究グループ長 (80357839)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リハビリテーション / 脳卒中 / 可塑性 / 霊長類モデル / 巧緻動作 / ミクログリア / 炎症 / 組織化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの私達の研究で、脳卒中の好発部位であり運動出力に密接に関係する皮質下の内包後脚に脳卒中を有する脳卒中サルモデルを確立した。このモデルでは大脳皮質第一次運動野(M1)第V層の運動出力細胞の著明な減少を示した。その背景として免疫応答に密接にかかわるグリア細胞の関与が考えられる。ミクログリアは損傷に応答して病巣部に集積することで神経組織の残骸や異物を貪食して脳内環境を維持し、損傷組織の修復をする。一方で、ミクログリアの活性化による炎症応答がニューロンの変性および細胞死を惹起することが知られている。そこでマカクサル内包梗塞モデルを用いて、種々のミクログリアマーカー分子の発現変化をM1第V層および梗塞部において組織学的に調べることで、内包梗塞後に引き起こされる障害へのミクログリアの関与を検証した。マカクサルの内包後脚に局所的な虚血による梗塞を作製した。活性化ミクログリアのマーカー分子としてIba1、CD68(貪食型)、CD86(炎症型)、CD206(抗炎症型)を対象とし、それぞれに対する抗体を使用した。M1におけるIba1発現は梗塞後中期にかけて有意に増加しピークに到達した。梗塞後2週間の組織切片においてCD206はCD68およびCD86と比較して高い発現量を示していた。梗塞部では、Iba1発現量は梗塞後中期にかけて上昇し、発現の上昇は少なくとも梗塞後半年まで持続することが明らかになった。M1においてIba1発現がピークを示す時期には、抗炎症マーカーであるCD206の発現量が高かったことから、ミクログリアはニューロンを保護し、細胞死を遅延させている可能性が示唆された。梗塞部に存在するミクログリアは、Iba1発現量の増加と並行して、CD68、CD86、CD206の発現量が全て増加していたことから、損傷組織の貪食および炎症反応と同時に抗炎症作用を示す可能性が考えられる。
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Research Products
(7 results)