2017 Fiscal Year Research-status Report
筋骨格系疼痛に対する理学療法の中枢性鎮痛機序の解明
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16K01499
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
高本 考一 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 特命助教 (00553116)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 理学療法学 / 近赤外分光法 / 電気刺激療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
頸部痛を有する被験者を対象にトリガーポイントに末梢神経の種類(Aβ、Aδ、C線維)に依存的な正弦波経皮電気刺激を施行した際の脳血行動態変化を近赤外分光法(Near Infrared Spectroscopy: NIRS)により検討した。頚部に痛みを有する被験者を2000Hz、250Hz、および5Hz正弦波電気刺激の3群にランダムに群分けした。各群におけるトリガーポイントへの正弦波電気刺激の鎮痛効果を刺激前後における主観的頸部痛スコア(VAS)および圧痛閾値の計測により、刺激により誘発される特異的感覚の強度をMASS( The Massachusetts General Hospital Acupuncture Sensation Scales)により、また刺激中の脳血行動態変化をNIRS(近赤外分光法)により記録し、比較・解析した。その結果、1)トリガーポイントへの250Hzおよび5Hz刺激により、2000Hz刺激と比較して、刺激後主観的頸部痛が有意に減少し、圧痛閾値が有意に増加した、2) 250Hzおよび5Hz刺激は、2000Hz刺激と比較して、前背内側前頭前野、背外側前頭前野、および補足運動野におけるOxy-Hb濃度を有意に低下させた、3)刺激中の前背内側前頭前野のOxy-Hb濃度変化と主観的頸部痛スコアとの間には有意な正相関が、同領域のOxy-Hb濃度変化と平均MASS値および圧痛閾値変化との間には、それぞれ有意な負相関が認められた。動物実験等により250Hzおよび5Hzの正弦波電気刺激は細径求心性神経線維(AδおよびC線維)の興奮をさせることが示唆されている。以上の所見より、頸部トリガーポイントへの経皮電気刺激療法(TENS)は、AδおよびC線維介し、前部前頭前野および補足運動野の活動を抑制することにより鎮痛を呈することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
29年度は、トリガーポイント上の経皮を対象に各周波数における正弦波電気刺激をした際の脳血行動態および主観的疼痛変化を測定・解析した。現在、刺激部位特異性による影響を検討するため非トリガーポイントを刺激対象として測定を進めている。また平成28,29年度と同様のプロトコールにて深部筋を刺激対象とし僧帽筋トリガーポイント部位へ1cm針電極を刺入して電気刺激をした際の脳血行動態変化と介入前後の自覚症状の変化を記録している。研究実施・協力施設内の実験対象者に本研究が周知され被験者が十分に確保できる環境となっており、順調に研究が遂行されている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度では、現在遂行している研究を終え、研究成果をとりまとめ学会発表および論文投稿する予定である。
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Research Products
(7 results)