2016 Fiscal Year Research-status Report
認知症の進行に伴う嚥下機能の経時的変化と並走する誤嚥リスク回避策に関する臨床研究
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16K01508
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
東嶋 美佐子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (40279005)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 智弥 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (30345003)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 摂食嚥下リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度の研究計画は、①スクーリニング検査のための評価装置の改良、②研究分担者による機械学習による自動解析の構築、③として①と②の検証試験の予定であった。 ①の評価装置の改良点は、嚥下性無呼吸を捉えるために鼻腔に取り付ける呼吸センサが被検者にとって違和感となっている事から、胸郭のどこかで嚥下性無呼吸を捉えることが可能かの実験を試行しているが、まだ適切な部位が特定出来ていない。 ②機械学習による自動解析の構築については、健常成人・健常高齢者・介護老人保健施設入所者のデータを解析してアルゴリズムの構築に向けた研究を実施しているが、捉えた波形は個別性が高いこと、捉えた波形は検査物によって異なること等の理由より構築までには至っていない。 ③については呼吸センサの従来型を使って、介護老人保健施設で機械学習のアルゴリズム構築用のデータを収集した。検査物として唾液・トリガスプーンですくえる10ccの水・10gのゼリーを用いた。唾液を用いた検査では、30秒間継続して唾液を嚥下するという指示に対して、一度しか嚥下を行なわない者が見られた。水とゼリーの摂取に対しては、切迫的に口腔に摂取する行為が見られた。平均年齢78歳の健常高齢者群20名と平均年齢88歳の介護老人保健施設群35名を比較した結果、介護老人保健施設群がゼリーを口腔に取り入れてから嚥下するまでの時間が約1分間短かった。 この現象は年齢が高くなることによる認知機能の低下によって引き起こされている問題か、あるいは検査指示への理解不足やコミュニケーション等の問題によるものかについて今後検討する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
嚥下性無呼吸の把握は、摂食嚥下中に空気の流入と流出がある箇所で捉える必要がある。その器官としては鼻腔と口腔のみである。しかし鼻腔と口腔に呼吸センサを取り付けると違和感や食事動作の支障になる。そのため胸郭のどこかで空気の流入と流出と一時的出入り停止を捉えるには、温度や流量の違いをセンサで捉える方法では不可能であることから、その捉える手法とセンサの取り付け部位の検証に時間がかかっているため、計画通りに進行していない。 機械学習による自動解析のアルゴリズム構築については、異常波形のサンプルが少ないことから完全に計画通りには進行していない。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の前半までにスクーリニング検査のための評価装置を完成させる計画である。後半から認知症疾患治療病棟で現場のスタッフより抽出・選定された被検者を対象に、基礎情報、ミール観察情報、摂食嚥下の評価情報、評価装置による情報を収集する。そのデータをもとに機械学習による自動解析のアルゴリズムを完成させる。
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Causes of Carryover |
理由は、胸郭の振幅や伸張から嚥下性無呼吸の抽出が可能か否かの検証が計画通り進行していないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計画としては、今年度の前半までには鼻腔を介して行なわれている空気の出入りと停止によって嚥下性無呼吸を捉える呼吸センサを、胸郭の振幅や伸張によって嚥下性無呼吸を捉える歪センサか張力センサの製作費用として使用する。
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