2017 Fiscal Year Research-status Report
認知症の進行に伴う嚥下機能の経時的変化と並走する誤嚥リスク回避策に関する臨床研究
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16K01508
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
東嶋 美佐子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (40279005)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 智弥 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (30345003)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 摂食嚥下リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
29年度は、①誤嚥疑い群と無群の区別のためのスクーリニング検査の実施、②誤嚥疑い群に対する機能評価に基づいた誤嚥回避策の実施と効果検証を行なう計画であった。 同一施設で実施する計画であったが、主研究協力施設の事情で①と②は、別々の施設で実施した。 ①については特別養護老人ホームで実施して、誤嚥の発生は呼気時間との相関が強いことが示唆された。嚥下のスクーリニング検査や非侵襲的嚥下検査装置を使った評価も重要であるが、特別養護老人ホームなどはリハビリ専門職の雇用が義務化されていないために、単発的評価と同時に養護老人ホームの職員による一定期間の食事観察データとの整合性から、誤嚥の分析をすることが重要であることが示された。現在、データを整理中で30年度の投稿を目指している。 ②については療養病棟に入院中で、経管栄養などの代替栄養中で誤嚥の既往がある者を対象に、嚥下の機能訓練や姿勢などの誤嚥回避策を実施した結果、誤嚥の発生が認められず機能的にも改善したことについて、論文として発表した。長期間の代替栄養者でも、特に摂食嚥下に重要な頚部周囲の筋力、筋緊張、関節可動域の改善、さらには抗重力姿勢を一日の内でも一定時間実施することが呼吸機能の維持や改善につながり、訓練期間中からフォローアップの間は誤嚥が生じなかった理由と思われる。一度、代替栄養になるとリハビリの実施回数や実施内容も限定されてくることから、その症例にとって最も重要と思われる訓練プログラムを立案・実施することが重要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
29年度の研究計画は、おおむね実施できたと思っている。しかし、研究課題である認知症者を対象とした研究実施は、認知症のレベルが重症であったためにスクーリニング検査等の実施が理解困難であった。さらに主研究協力施設のマンパワー不足から、対象者の選定や同意取得が困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、①研究対象者である認知症者を、入院者からデイケア利用者に変更する、②マンパワー不足に対処するために、月一回のペースでデータを収集する方針に変更したいと考えている。 認知症の重症度レベルを下げることによって、各種検査の実施や検査データの信頼性も高まると思われる。また、月一回のデータ収集により研究協力施設の負担も軽減できると同時に、半年間のデータ数(約40名)を1クールとして、この40名を3クールまで摂食嚥下の変化を経時的に捉えていく方針である。
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Causes of Carryover |
論文の掲載料の請求待ちをしていたために次年度の使用額が生じた。論文のアクセプトは3月中旬に受けていたが、3月末までに掲載料の請求がなかった。4月上旬に掲載料の請求が来たため、翌年度分で支払う予定である。
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Research Products
(2 results)