2018 Fiscal Year Research-status Report
地域生活で遂行される活動の難易度とその実践応用に関する研究
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16K01511
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
斉藤 さわ子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (70315688)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ADL / IADL / 主観的課題難易度 / 年齢差 |
Outline of Annual Research Achievements |
作業を用いた評価や介入に関わる講習会(開催地:愛知,茨城,滋賀,東京,宮城,北海道)に参加した,不適切回答を除いたAMPSの課題難易度を知らない作業療法士124名(男72名,女52名,平均年齢29.88±6.84歳)にてデータが収集を行った。このデータに基づく結果では、AMPSの標準化された観察評価に基づく客観的課題難易度(以下AMPS課題難易度)と本研究の日本人の主観的題難易度との相関は、AMPS運動技能課題難易度は r = 0.83 (p <0.01).であり、AMPSプロセス技能課題難易度は r = 0.81 (p < 0.01)であることがわかった。「買い物」、「家具を動かさない掃除機かけ」「壁際にあるベットのシーツ交換」の3つの課題において、AMPS運動技能課題と主観的課題難易度と比較的大きな差があった。「みそ汁をつくる」「買い物」「手で食器を洗う」「布団を敷く」「整容」「小さな植物の植え替え」の6課題において、AMPSプロセス技能課題難易度と主観的課題難易度に比較的大きな差があった。また、作業療法士の年齢の違いによる主観的課題難易度の差を、28歳未満群(n=61,平均年齢24.50±1.55)と28歳以上群(n=63,平均年齢34.92±6.00)に分けその相関を調べたところ、r=0.95であることがわかった。「大きめの器に2,3人分のサラダをつくり,ドレッシングを添える」「カップ麺をつくる」「屋外を掃く」「髪をブラシか櫛でとく」「紐やベルクロを締める必要のない(スリッポン)靴をはく」の5課題において比較的大きな差があった。 一般人が感じている主観的課題難易度に関するデータ収集では、合計約100名からデータが得られた。現在、分析中である。 2018年年度には学会発表を2演題登録したが、1題は学会自体がキャンセルとなったが、1演題は採択されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
作業療法士及び若年健康者層の主観的課題難易度についての研究は、順調にすすんでいるが、障害のある人へのアンケート調査が遅れている。障害のある人へのアンケート調査に関しては、健康な人へのアンケート調査の経過をみて、アンケートで不適切回答の程度を把握し、アンケートで尋ねる課題数の検討が必要あると、研究経過中に判断したため、データ収集に遅れが生じていた。さらには、購入したコンピュータ・タブレットで障害のある人のデータ収集を行う予定にしていたが、そのコンピュータでのデータ分析用のソフトウエアを10月に発注したにもかかわらず、入札した会社がトラブルを起こし、3月末までソフトウエアの納入がなされないという事態となり、データ収集が遅れることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
障害のある人に対して、今年度中にデータ収集に開始する。また、引き続き、地域に偏ることなく全国の作業療法士および若年者のデータ収集は行えるよう準備を整えたので、少なくとも健康者と作業療法士に関しては、十分なデータをもとに結果をだしていくこととする。
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Causes of Carryover |
発表を予定していたイタリアで行われる国際学会が主催者側開催延期の判断がなされたこと、データ分析と解釈の検討を行うため渡米あるいはアメリカの研究者が来日予定であったが、アメリカの研究者の所属の変更に伴い、当面はメール等のやり取りで対応することとなったこと、それに伴い、データ入力及び分析をデータ分析補助者に依頼し謝礼を支払う予定であったものを、データ入力方法と分析方法を研究者自らが行い必要性が生じたため、2018年は分析補助者の採用を行わなかった。これらの理由から予算残額が生じた。2019年度は、引き続きデータ収集を全国各地で行うため、データ収集依頼のための旅費が必要となる。また、国際学会で発表予定だった研究成果の発表を含めて研究代表者は少なくとも2学会で演題発表を予定しており、2018年から共同研究者を募り、共同での研究を始めており、共同研究者も本研究の成果発表を予定していることから、こちらの旅費等も必要となっている。また、最終年度であることから、2018年ー2019年度に収集したデータすべての分析を終了させるために、2019年度は分析補助者を使いその謝礼も必要となることから、予算残額が生じない計画となっている。
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