2018 Fiscal Year Research-status Report
随意運動と関連した人工的な刺激は皮質間の機能連絡に影響を与えるか
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16K01513
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
吉田 晋 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 教授 (30555909)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 伸弥 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 助教 (20803654)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Bilateral arm training / paired stimulation / LTP-like plasticity |
Outline of Annual Research Achievements |
両側肢を同時に動かすBilateral arm training(BAT)によって、運動皮質の活動性が向上し、上肢機能が改善することが健常者や脳卒中患者で認められている。そこで、この変化が末梢神経への電気刺激(FES)、経頭蓋磁気刺激(TMS)といった人工的な刺激でも生じるかについて健常被験者を用いて検討した。 介入は両側の母指外転運動を同時に行う(BAT)、一側の母指外転と対側の末梢神経刺激(FES)、一側の母指外転と同側皮質(対側肢の誘発領域)への経頭蓋磁気刺激(TMS)の3課題とし、それぞれ0.2Hzの頻度で30分間(各360回)行った。 計測パラメータは安静時閾値(RMT)、運動誘発電位(MEP)皮質内抑制(SICI)皮質内促通(ICF)とした。これらパラメータについて、介入前(pre test)および介入終了直後(post0)、20分後(post20)、40分後(post40)、60分後(post60)に計測した。 RMTは全ての介入においてpre testからpost60まで変化は見られなかった。MEPは全ての介入においてpost0から増加し、その傾向は40~60分後まで持続した。SICIは全ての介入で介入後に抑制される傾向を示した。ICFは全ての介入で増加した。 自発運動によるBATで運動皮質の活動性が変化することは知られていたが、一側の筋活動をトリガーした対側肢へのFESやTMSによる左右皮質をまたいだpaired stimulationによっても同様の変化を生じさせることを明らかにした。この変化が40~60分程度持続することから、いわゆるLTP-like plasticityを生じたものと推測された。本研究の結果からはメカニズムまで言及することはできないが、SICIの減少、ICFの増加がみられたことから皮質内の変化であると推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
統計解析に十分な被験者数の計測を終了し、解析もほぼ完了した。論文作成に取り掛かっているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
データ解析も終え、論文作成に取り掛かっているが、研究成果をより精度の高いものにしていくために、いくつか解決すべき問題がみえてきた。これについて論文作成と並行して追加の実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究開始当初に生じた機器トラブルによる遅延の影響で、学会発表、論文投稿に至らなかった。このため論文投稿費、学会出張費にあてる予定の予算を執行できなかったので、今年度執行していく。 また実験の精度を上げるためにいくつか実験を追加する必要があり、被験者謝金、消耗品費としても使用していく。
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