2018 Fiscal Year Research-status Report
肘関節運動を力源とした前腕能動義手の適応の拡大と実用性の検証
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16K01531
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Research Institution | Kawasaki University of Medical Welfare |
Principal Investigator |
妹尾 勝利 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (50299260)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 肘システム義手 / 義手の操作性 / 義手の懸垂 / 義手の実用性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、我々が開発した肘システム義手(肘関節運動を体内力源とした前腕能動義手)の適応(装着可能な切断レベル)の拡大を図るために、新たなソケットと懸垂法による肘システム義手を試作し、その実用性を切断者によって検証することである。 平成30年度までには、ソケットの材料であるアクリル樹脂の硬度の違いによる肘関節可動範囲、ソケット内圧、剪断力を比較し、その結果からソケットの形状と義手の懸垂方法を考案していた。 平成30年度は考案したソケットと懸垂方法による模擬肘システム義手を作製しその有効性について検討巣を進めた。 作製した模擬肘システム義手は、(1)スタンプシュリンガーに断端を挿入し、CRSソケットに類似した構造のソケット(ソケットの近位内外側面を一部くり抜いた形状)とスタンプシュリンガーに貼付したベルクロとソケットに取り付けたベルクロで義手を懸垂するもの、(2)外ソケットを柵状にし、外ソケットの上からスタンプシュリンガーで義手を懸垂するもの、3)上腕カフの内側部にシリコーンコーティングし、その摩擦で義手を懸垂するもの(ソケットは(1)と同様のCRSに類似した構造)、の模擬肘システム義手を製作し、これらの実用性を検証した。また、新たな義手懸垂機構としてスノーボードやアウトドア用フックウェアに使用される「BOAシステム」は、ダイヤルを回すだけでソケットを断端に固定できる可能性があり、(4)番目の模擬肘システム義手として検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ソケットのアクリル樹脂硬度からソケット形状(CRSソケットに準じたものまたは近いもの)を抽出することはできた。その後、義手の懸垂方法を検討していたが、平成30年西日本豪雨により被災したため、被災後に研究が十分にできない時期が続いた。これにより現在の研究状況はやや遅れていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
作製した3本の模擬肘システム義手の操作性と装着性を検証し、その結果から実際の上肢切断者へ肘システム義手を作製する。また、BOAシステムの導入の検討も同時に行う。対象者の切断レベルは、前腕中断端から手関節離団までの2名を予定している。 作製した肘システム義手の使用評価から新たなソケットと懸垂法による肘システム義手の実用性を検証する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由:研究の遅れに伴い、BOAシステムによる模擬肘システム義手作製と実際の上肢切断者への義手製作ができなかったため、義手作製に使用する。 使用計画は、まず、BOAシステムによる模擬肘システム義手作製を実施、実用性の検証後に実際の切断者への義手作製を行う。義手作製は、切断者一人につき仮義手を含め2回以上を予定している。
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