2016 Fiscal Year Research-status Report
集音マイクと咽喉マイクを併用した受動的・能動的会話情報収集システムの開発
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16K01543
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
西田 昌史 静岡大学, 情報学部, 准教授 (80361442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 雅史 静岡大学, 情報学部, 教授 (60740363)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 発話区間検出 / 咽喉マイク / 音声対話 / 対話破綻 / 話題誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,発話区間の検出,対話破綻の検出,話題誘導を行う対話システムの構築について取り組んだ.それぞれの研究成果について以下に述べる.発話区間の検出において,周囲の環境音が混入する問題に対応するため咽喉マイクを導入した.さらにピンマイクを併用する手法を提案し,衣擦れ音や嚥下音といった咽喉マイク特有の雑音の影響を抑えることができた.大学生を対象とした自由会話ならびに高齢者を対象とした実環境下での評価を実施した結果,発話区間の検出精度は咽喉マイク単体の場合それぞれ0.82,0.86,提案手法の場合それぞれ0.9,0.88といういずれの評価データに対しても非常に高いF値を得ることができ,提案手法の有効性を明らかにすることができた.対話破綻の検出に関しては,Wizard of Oz法により雑談音声対話データを収集し,テキストのログと音声の2種類のデータに対して対話破綻に関する主観評価を行い,言語情報と音声情報のそれぞれを用いた場合で両者に差異があることがわかった.また,ポーズ長や発話長,ピッチレンジなどの非言語音響情報を用いたランダムフォレストによる対話破綻の検出実験を行い,従来用いられてこなかった非言語音響情報が対話破綻の検出に有効であることを明らかにした.話題誘導を行う対話システムに関しては,非言語音響情報と適切な話題誘導のタイミングには何らかの関係性があると考え検討を行った.ユーザの発話欲求度に応じて誘導先の話題を変化させる対話実験を行い,概念距離と非言語音響情報を含めた分析を行った.その結果,発話欲求度が高いときは概念距離が近い話題を,発話欲求度が低い時にはその逆の話題に誘導することで,ユーザ満足度を高められる可能性を確認した.また,発話欲求度は非言語音響情報とある程度の相関があることもわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発話区間検出では防音室での大学生の会話だけではなく,会議室での高齢者による実環境の会話データでも評価を行い,いずれにおいても高い検出精度を達成できた.また,対話破綻検出では,これまであまり検討されて来なかった非言語音響情報の有効性を明らかにできた.さらに,発話欲求度に応じた話題誘導を行うことの有効性ならびに非言語音響情報と発話欲求度の関係が明らかになり,おおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
対話破綻検出においては,個人性や対話状態の違いによる影響で非言語音響情報が変化するのではないかと考えられるため,より詳細な分析を進める予定である.また,話題誘導においては,前の発話と比べてどれぐらい話題が離れるとユーザが不自然に感じるかに着目し,話題遷移時の話題距離と対話の自然性の関係について分析を進める予定である.
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも学会発表の件数が少なかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度発表できなかった分、研究成果を広く公表できるようにより多く学会発表を行う予定である.
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Research Products
(7 results)