2016 Fiscal Year Research-status Report
低形成を有する身体障害者の二次障害予防 -サリドマイド被害者の支援-
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16K01545
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
辻村 裕次 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40311724)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北原 照代 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (20293821)
白星 伸一 佛教大学, 保健医療技術学部, 准教授 (20388698)
垰田 和史 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (90236175)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 二次障害 / サリドマイド被害者 / 短肢症 / 座位姿勢 / 筋骨格系症状 |
Outline of Annual Research Achievements |
障害者入所施設で働く方と私立大学教員の2名のサリドマイド被害者に、調査介入への協力が得られた。職場に訪問し、調査・介入・評価を行った。 1名は左上肢の「しびれ」を訴えており、左僧帽筋に強い筋硬結があった。作業ではノートPCを使い、頭部や両肩が前方に偏位し、左前腕で上体を支える姿勢となっていた。介入としての変更点は、椅子に立体編み構造クッションと形状記憶型背もたれを設置、ノートPCを手前に移動して画面とキーボードを高くするために台を使用、マウスを動かしやすいように上にグリップを装着した(2016年12月8日実施)。また「ものを抱え込むような上体姿勢」の身体への悪影響を説明して自身による姿勢改善を促し、さらに自身で出来る上肢のストレッチ運動の指導を行った。介入実施の3ヶ月後に、聴き取り・観察・触診、撮影写真による姿勢分析、座圧分布測定、筋電図測定による負担軽減評価を行った。左前腕で上体を支える姿勢をとらなくなり、頭部と両肩の前方偏位が緩和していた。左上部僧帽筋の硬結が軽快し、左上肢の「しびれ」症状がなくなり、肩や腰部の1日の終業時の疲労が軽減した。 もう1名は右手第2・3指の痛み、肩や背の「こり」を訴えていた。介入では、安楽な座位のために椅子を新調し、ブラインドを調節しモニター画面に当たっていた窓からの光を減少させ、使用していたマウスの問題点を解説して背の低いマウスを使用してもらうようにし、時々使用するノートPCの画面とキーボードを高くするための台を使用してもらうようにした。そして、労働衛生や人間工学の視点で、仕事や生活での負担を比較的簡単に軽減できることを理解いただいた。今後、座圧分布や筋電図の測定を行い、負担軽減効果を検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
介入は初年度の計画通りに、2名(1名は客観的評価が行えていない)に対して行え、1名については明確に負担軽減効果があり、症状の軽快も実現した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の事例での研究内容と結果を分かりやすくまとめ、他のサリドマイド被害者の方々に提示し、さらなる被験者を募る。2年目(2017年度)は、仮称「サリドマイド被害者相談会」が全国数ヶ所で開かれる予定で、すでに、その場での運動指導の要請があった。その機会を利用し、サリドマイド被害者の方々の健康問題に関する情報収集と新たな被験者の確保を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度中に予定していた遠方への訪問時に、他機関の研究分担者が病気のために訪問できず、交通費を使わなかったため。また、諸経費を他の予算区分から使ったために、「その他」の経費が大きく未使用となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度中に予定していた遠方への訪問を2年目(2017年度)に行う予定で、他機関の研究分担者は、当該年度未使用分をその交通費に充てる。
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Research Products
(3 results)