2017 Fiscal Year Research-status Report
義足ソケット適合評価支援システムの開発に関する研究
Project/Area Number |
16K01558
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
原 和彦 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 教授 (70325984)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 義足ソケット / 適合評価 / ソケット内圧 / 非接触式3Dスキャナ / 有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
義足ソケット適合評価システムの開発に関する本研究は昨年度に引き続き、非接触式3次元形状計測にiSenseTM(3DSystems社製、以下、iS)を用いた手法について検討を行い、義足ソケットと断端との適合評価への応用について可能性を検索した。非接触式3Dスキャナで取り込んだソケット形状(以下iSモデル)とCT撮影から得た3D形状(CTモデル)と対比した。CTモデルとiSモデルでのソケットの厚みの比較、およびCTモデル形状を基準値としたときのiSモデルの相対誤差を算出した。結果として、iSモデルでは対象物の手前側に座標が認識されるなどの計測誤差が生じていた。ソケット上部、外側面および内側面の計測データについて、1~3mm程度の誤差であった。しかし、iSモデルの誤差の特性を把握して補正を行うことができれば臨床応用が期待できると考えられた。 またMRIやCTなどの撮影画像から得た3次元情報を用いてソケット内の応力状況について有限要素法解析によりシミュレーションを行い、ソケット適合に関するパラメータの分析を行った。本研究初年度まではABAQUSを使ったシミュレーションを行ってきたが、昨年度より有限要素解析ソフトにCOMSOL Multiphysicsを使用した。対象には健常な義肢装着歩行が十分可能な下腿切断者1名のMRI画像を用いた。撮像した画像から断端、シリコンライナー、ソケットの3次元画像を作成した。作成した3次元画像をCOMSOL Multiphysicsにインポートして断端上面から10mmの強制変位を与えた。結果として断端の先端部に約30kPa、膝蓋骨周辺に約15kPaの接触圧を確認できた。これらのことより3Dモデルの作成から解析までの流れを把握することができたが、今後さらにiSモデル計測から解析にかかる手順とその有効性について検証を続けていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究目標は有限要素解析(FEA)によるソケット内の応力分析の手法について、有限要素解析ソフト(COMSOL Multiphysics)を用いた解析を行うことである。この解析ソフトはこれまで使用してきたABAQUSより比較的安価で高度な解析が行える。本ソフトを使用したFEM解析の様々な試行を行い、ソケット内圧の解析を行うことができた。 また非接触式3Dスキャナによる形状計測はiPadやiPhoneに装着可能で携帯性が高く、計測法から解析に至るまでの費用対効果も高いと考えられた。ソケットや断端の形状計測については計測精度や特性、臨床応用の可能性について検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
義足ソケットと断端との適合性を正しく評価して、より良い義肢適合支援のあり方を構築することは切断者の社会参加の実現と支援の質改善に向けた大きな鍵となる。またソケット適合の支援技術の検証に関する研究が進んでいない現状がある。そこで本研究はソケット適合状況を3次元形状により適合状況を客観的にとらえる方法として、持ち運びが可能な非接触式3Dスキャナを選び、この機器から取り込んだ義足ソケットと断端形状との適合評価を試行的に行った。しかし、現状の非接触式3Dスキャナでは取り込んだ形状に一定の誤差を生じるために他のMRIやCTとのデータとの比較検証が十分でないところが課題である。このため本研究は継続的にMRIなどを用いたソケット、断端などの3D形状との比較を継続して行う予定である。 今後、ソケットと断端の適合評価支援システム開発のための有限要素解析(FEA)を行い、解析に移行するまでのSTLデータなどの中間ファイルの処理や3次元データのCAD処理などの簡易化について実験検証を行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は有限要素解析ソフトにて解析可能な三次元形状STLファイルを編集するためのCAD処理について、購入した有限要素解析ソフトCOMSOL上で簡易なCAD処理の試行を行った。この結果、ソケット内圧のシミュレーションを行うまでのCAD処理を行うことができたが詳細なオーバーラップや間隙の細かいCAD処理が十分ではなく次年度にてCAD処理法を開発する必要がある。またMRI撮像画像から骨や断端軟部組織、ソケット形状の境界形状について、非常に時間の要する市販の画像処理ソフトを用いた画像解析を行ってきたが、より効率的に割り出す画像処理を実現するための比較的安価なソフトリースが可能となったので次年度本実施する予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Book] 義肢装具学テキスト2018
Author(s)
細田多穂監修、磯崎弘司、両角昌美、横山茂樹編集
Total Pages
441
Publisher
南江堂
ISBN
978-4-263-2117-5C3047
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[Book] 体表解剖と代償運動2018
Author(s)
竹内孝仁、細田多穂、高橋輝雄、五味敏昭、編集
Total Pages
273
Publisher
医歯薬出版株式会社
ISBN
978-4-263-2117-5C3047
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