2016 Fiscal Year Research-status Report
直接骨導音を利用した食道音声支援用携帯型拡声器の開発
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16K01561
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
前田 秀彦 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 講師 (90632604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 憲治 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 教授 (50211199)
小林 健史 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 助教 (60583903)
米本 清 岩手県立大学, 社会福祉学部, 教授 (90305277)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 食道音声 / 骨伝導マイクロホン / 直接骨導音 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては、直接骨導音を安定して導出できると考えている部位(歯)からの直接骨導音の導出について複数人の健常ボタンティア成人を対象に行った。比較対象として、前額正中部位から経皮的骨導音の導出、気道マイクロホンを使用して気導音声の録音も同時に行った。母音(/a/,/i/,/u/,/e/,/o/)発声時の音声を上記三つの経路で比較したところ、経皮的骨導音ではf2以降のフォルマント周波数計測値にバラツキが確認され、計測するのが困難な被験者も見受けられた。一方、歯から導出した直接骨導音のf2以降のフォルマント周波数は、経皮骨導音のフォルマント周波数計測値と比較して周期的でばらつきが少なかった。気導音声のf4までのフォルマント周波数計測値と比較すると、直接骨導音、経皮骨導音のf4までのフォルマント周波数計測値に有意な差はないと考えられた。しかしながら、直接骨導の経路からの音声は、経皮骨導の経路からの音声と比較して音量(大きさ)に優れており、気導音声の音量と比較しても音量(相対値比較)に減衰は見られなかった。サ行(サ、シ、ス、セ、ソ)の発声を計測したところ、直接骨導音の導出経路においては、スペクトログラムで10 kHzまで摩擦成分を確認することができた。これは、我々が以前、骨固定型補聴器(Bone anchored hearing aid: Baha)のチタニウムインプラントを介して導出した直接骨導音よりも4 kHz以降の高周波数成分が減衰することなく導出されていることを裏付けるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
歯からの直接骨導音導出において、安定的に導出できると考えていた一方法(マウスピースに振動ピックアップを固定し、振動ピックアップのセンサー部分を歯に接触させる)で複数回にわたり直接骨導音の導出を行ったが、音の歪など構音への影響がかなり見受けられた。これは、奥行きの短い小型センサーを使用しても同様であった。個人個人のマウスピース作成にも時間がかかり、実験開始までに大幅な時間を要してしまった。このため。当初予定していた振動ピックアップによる直接骨導音導出の実験が遅れてしまい、ピエゾフィルムセンサーを使用した直接骨導音の導出実験を開始するまでに至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はピエゾフィルムセンサーを利用した、直接骨導音の導出実験を行う。マウスピースによる固定方法あるいは粘着物質を利用した固定方法など複数のセンサー固定方法を施行し、安定かつ構音への影響を最小限としうる直接骨導音の導出方法を開発する。導出された音声について、聴取実験を行い、経皮骨導音と比較し直接骨導音の音声の明瞭性(特に音声の高周波数成分の導出に優れること)優位性をあきらかにする。
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Causes of Carryover |
研究計画の進行が当初の予定より遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
直接骨導音導出のための新規デバイスの購入、聴取実験の被験者謝金等に適切に使用される予定である。
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