2017 Fiscal Year Research-status Report
介護作業用柔軟構造ロボットハンドの開発と程度表現指示による身体ケア作業の実現
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16K01562
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
梶川 伸哉 東北学院大学, 工学部, 教授 (80290691)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 剛性可変 / 押し込み / 感覚量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度製作した指先および関節の剛性を可変とするフィンガの性能評価を行った。関節剛性については、およそ1.5倍程度の剛性変化を得ることができたが、高剛性領域が若干不足することが確認できた。これは、剛性調節に用いた空気圧クッションの持つ弾性の影響であると考えられた。今後、素材および形状を再考し、改善を図る。 一方、指先剛性に関しては、シリコーンゴム製外殻の内部にスポンジで包んだプラスチック製の半球核を配置する構成を採用し、人の指のような非線形の剛性特性を再現した。また、その内部をネジを用いて圧縮する機構を取り入れ、圧縮の程度により、人の指と異なる変位-剛性特性を実現することも可能とした。 次に、上記の指先を用いて人の手先を押し込む実験を行った。その際に、「少し強く」、「ほんの少し強く」といった具体的な程度表現に見合った押し込み力を被験者自らがロボットフィンガの制御を行うことで計測した。Weber-Fechnerの法則を基に、各表現と感覚量の関係を解析した結果、接触力と接触面積の変化が各表現に対する感覚量のレベル変化に影響することが確認された。従来のロボットによる接触作業では、接触力のみが制御の対象とされていたが、人の感覚を考慮した心地よいサービスを提供するためには、接触力のみの制御では不完全であることがわかった。この結果から程度表現指示に対する押し込み作業は、接触力と接触面積の同時制御を行うことが必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
指先および関節の剛性可変機構の評価を終え、本研究の目的への利用可能性が確認できた。同時に問題点も明らかになったが、改良策にも一定の目途がついている状況である。また、もう一つの課題であるマッサージ動作における程度表現の利用方法では、程度表現に対する感覚量に合ったロボットマッサージを実現するための制御ポイントを把握することができた。これにより、具体的な制御方法を考案することができた。 現在は、上記のロボットフィンガ機構の改良を行い、最終目的である程度表現によるマッサージ実験を行う準備を進めている段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ロボットフィンガ―の改良を行い、実際に程度表現を用いたマッサージ作業を行う予定である。また、その実験を通して、ロボットフィンガと人の体の剛性の違いがマッサージ動作に与える影響について考察を深めていく。
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Causes of Carryover |
実験条件を見直したことにより、購入予定としていた6軸力センサ(60万円)の購入を取りやめ、廉価な一軸型のものを購入したこと。また、申請時に購入予定として計上した加工機の機種変更により、残額が生じた。また、今年度の残額分の使用計画としては、複数回の学会発表を予定しており、その旅費、登録料として使用する。また、新たな課題として考慮することとなった接触面積計測システムを構築するための小型カメラを購入する予定である。
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