2016 Fiscal Year Research-status Report
動的な体表面温湿度制御系を搭載した義手ソケットの開発研究
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16K01568
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
大西 謙吾 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (70336254)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 義肢 / ソケット / 義手 / 生体信号計測 / 温度 |
Outline of Annual Research Achievements |
陰圧粒子バッグと三次元形状計測装置を用い,短時間で簡易に断端形状の陰型と陽型を作成することで採型する方法を考案した.この方法を用いて長・短切断肢長のソケット陽性モデルのスキャニングとソケット内側曲面モデルを作成した.このモデルをもとにソケットモジュールを長切断肢長と短切断肢長の2種類のCADソケットモデルを作成した.この曲面モデルを用いてソケットの内側面モデルを作る方法を構築した. CAN通信機能を有するマイコンをベースにPDCPコントローラを構築し,筋電センサ,慣性センサの入力を制御するモジュールと,減速器付DCモータとサーボモータをそれぞれ制御するモジュールと,上位コントローラと通信するモジュールからなるシステムを構築した.さらにこれを用いて,3自由度電動前腕義手の筋電による手の開閉と前腕姿勢による手関節の掌背屈の制御系を構築し動作実験を行った.ソケットモジュールへの温湿度センサ,電子冷却器,ファンを実装した実験機モデルを作成し,温湿度計測プログラムの開発を進めた.また,冷却方式として熱伝達,対流,潜熱を用いる方法を前腕円筒熱源モデルの実験装置にて比較した. 非切断者の被験者にてソケット内温湿度の下肢運動時等の条件における測定実験を行い,ソケット内温湿度が上肢以外の影響を受けるかを調査した.さらに切断者2名の協力を得て,通常使用と同じソケット内形状のソケット内温湿度計測実験用のソケットを作成し,ソケット内温湿度変動を,環境温湿度を一定に制御した状態の室内にて計測した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
予算の都合でソケットを製作する光造形機の樹脂が予定通りの量を確保できていないことから,モデル試作ができていない.このため,後の作業をペースアップできるように切断肢を石膏を用いず短時間で採型する方法を構築することとした.これにより,ソケット内側面の形状モデルを効率的にCADに取り込むことを可能にした.また,高精度光造形装置にて各モジュールの試作,装着部位体表面への接触評価,形状修正は次年度とし,当初2年度目に行う予定であったPDCPコントローラの構築を前倒して進めた.温度センサモジュールとペルチェ素子,ファンを用いた場合の冷却効果の比較を実験装置で行った.
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Strategy for Future Research Activity |
ソケットの荷重・免荷部と温度分布特性により硬質アクリル部材,ゴムライク部材,高熱伝導率部材,高透湿部材にモジュールを分割したCADモデルの形状・構造設計修正を続け,CAEにて熱解析を行い,高精度光造形装置にて各モジュールの試作,装着部位体表面への接触評価,形状修正を進める. ソケットの組み立てと各ソケットの前腕部モデルへの装着容易さの評価と修正. PID制御式の温度調整器を有する切断肢の前腕円筒熱源モデルに2種類のソケットをそれぞれ装着しての伝熱特性実験.温度調整器の電流,特徴点8箇所でのソケット内・外面温度,ソケット内の熱流量の同期計測実験を行い,特性評価を行う.また,実験結果とシミュレーション結果の比較分析と,モジュールの設計案を固める.
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Causes of Carryover |
残金が1000円以下であったため,次年度使用額と合わせ有効に活用するため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
樹脂ならびに実験消耗品の購入に用いる
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