2016 Fiscal Year Research-status Report
ヨガによる高齢者の不整脈予防効果の検討:心・血管および自律神経機能解析の応用
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16K01570
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
仁木 清美 東京都市大学, 工学部, 教授 (40218095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 基晃 姫路獨協大学, 医療保健学部, 名誉教授 (60010914)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 不整脈 / ヨガ / wave intensity / 高齢者 / 運動療法 / 瞑想法 / 超音波計測 / 大動脈エラスタンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は高齢者における不整脈疾患の罹患率を減らすため,心房性不整脈に影響を与える自律神経機能不全改善に有効であるとされるヨガ療法が,実際にどのように心血管系に影響するかを検討することである.検討する手段として我々が今まで行ってきた血管スティッフネス計測やwave intensity,さらに大動脈エラスタンス等の心血管系計測指標を用いて評価を行う. 本年度はヨーガ教師養成講座に参加してヨガの科学的評価法を検討した.ヨガ療法における呼吸法や瞑想法の評価法を検討するため,多くの文献を調査し,ヨガ療法士の方々に意見を伺った.また,いままでのヨガ療法を受けた方のアンケートを参考としてヨガのプロトコル作成を行っている.当初,瞑想法を主体にする予定であったが,瞑想法を嫌がる傾向を示す症例が多かった.このことより,ヨガ療法を受ける方の精神的要素の検討が必要と思われた.ヨガ施行場所が決まらなかったため,結果発表には至らなかったが,来年度には学会にて報告予定である.本年度は高齢者において駆出機能の負荷となる血管スティッフネスが運動により改善するか,また,僧帽弁閉鎖不全症において血管スティッフネスが心機能にどのように影響を与えるかを検討し,学会にて報告した.また超音波による新しい血管スティッフネス計測法に関しての報告と,血管スティッフネス増大に伴う心機能への影響に関してwave intensityを用いて検討した結果を学会にて報告した.今後ロボットによる自動計測をめざしており,ロボットを用いた計測方法の有用性に関して検討し,報告した.血流計測に関して,超音波で計測するには計測部位や角度などの制約があるため,シミュレーションによる血流計測の可能性を検討し,四肢の血流のシミュレーションを行い,学会にて報告した.今後はヨガ療法が大動脈エラスタンスおよび血管スティッフネスに与える影響を検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度はまず,ヨガを基本的に理解し,医学に応用されているヨガ療法の詳細を研究するため,ヨーガ教師養成講座に参加して,ヨガの歴史,現状,ヨガにおける呼吸法や瞑想法の重要性を理解した.また,心身症にヨガ療法が応用されている状況と,自律神経機能のコントロールをどのように行っていくかについて講義を受けた.自律神経は不整脈においても重要な要素であり,これをいかに科学的に解明するかが検討課題となった.現在,60分のヨガ療法のプロトコルを作成中である.第二に研究に協力していただけるヨガのインストラクターを探した.このことに関してはヨーガ療法士さんに引き受けていただけることとなった.第三にヨガ施行場所および研究対象例の選択方法に関して,共同研究病院の長山雅俊先生と検討を行ったが,当初の病院施設内で行うことに問題が生じたため,現在対処法を検討中である.研究内容に関しては施行場所が決定次第,倫理委員会に提出する予定である.第四に心拍変動計測用の装置を準備していくつか予備実験を行った.そしてスペクトル解析の高周波成分(HF)と低周波成分(LF)およびLF/HFを計測し,交感神経優位時にはLF/HFが,副交感神経優位時にはHFが優位となることを確認した.第五に気分プロフィール検査の検査用紙を準備した.これは“気分”というあいまいな感情を定量的に評価するもので,ヨガにより気分がどのように変化するかを検査し,自律神経と感情との関係を検討する予定である. 超音波計測システムはほぼ完成し,データ保存用のハードディスクも用意した.血管ステイッフネスの新しい計測方法のソフトを用いて,エコートラッキング法で得られた計測値と比較検討中である.実効大動脈エラスタンス計測における実測値のばらつきを改善するため,心臓モデルを含む循環回路を作成し,より簡易的に計測できる手法を検討中である.
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Strategy for Future Research Activity |
ヨガ施行場所が決定次第,検査ボランティアを募集し,プロトコルを開始する.対象は健常成人および,45歳以上の動悸の自覚がある心房性不整脈を有する患者とする.また,ヨガの3要素であるストレッチ,瞑想,呼吸のそれぞれがどのように自律神経に影響しているか検討する. 他に,実効大動脈エラスタンス計測における実測値のばらつきを改善するため,引き続き心臓モデルを作成し計測精度向上のためのソフト開発を行う
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Causes of Carryover |
ヨガのプロトコルが開始できなかったため,ボランティア,インストラクターでの謝礼が支払えなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に対象人数を増やして行う予定である.
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Research Products
(16 results)