2016 Fiscal Year Research-status Report
膝伸展における1RMと等尺性最大トルク推定の多角的検証
Project/Area Number |
16K01575
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
金田 嘉清 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 教授 (50387669)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 宏明 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 教授 (90387704)
杉浦 令人 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 客員講師 (70754737)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 1RM / 膝関節伸展 / 等尺性最大筋力 / 身体組成 |
Outline of Annual Research Achievements |
[目的] 本研究では下肢筋力の代表値として用いられる膝関節伸展筋を対象に,臨床現場でより簡易的に1RMを推定するため,HHDによる等尺性最大筋力および身体組成データを用いて1RMの予測回帰式を算出することを目的とした. [対象] 20~30代の健常男性21名とした.[方法] 1RMの推定式を求めるため,1RM測定値を従属変数とし,等尺性最大筋力測定値を独立変数とした単回帰分析を実施した.さらに,身体組成データを加え,等尺性最大筋力および身体組成データを独立変数とした重回帰分析を実施した. [結果] 1RM測定値を従属変数,等尺性最大筋力測定値を独立変数とした単回帰分析では1RM (kg) = 0.714 + 0.783 × 等尺性最大筋力測定値 (kgf) という推定式が求められた(R2 = 0.849).身体組成データを独立変数とした重回帰分析では,全身筋肉量のみ抽出され,1RM (kg) = -5.282 + 0.569 × 等尺性最大筋力測定値 (kgf) + 0.526 × 全身筋肉量 (kg)という推定式が求められた(R2 = 0.902). [考察] 今回,心身ストレスの少ないHHDを用いた等尺性最大筋力および身体組成データより1RMの予測回帰式を算出した.独立変数を等尺性最大筋力,身体組成データとした場合,ともに精度の高い1RMの予測回帰式を求めることができた.より臨床での活用を容易にするため,等尺性最大筋力,身体組成データともに測定値を直接,推定式に当てはめた.身体組成計の活用については,一度に複数の客観的評価を行えるという利点を活かし,その利便性から,さまざまなフィールドで普及しつつある.今回の検証で用いたHHDおよび身体組成計は,測定も短時間で行うことができ,実際の臨床現場でより簡易的に用いることが可能であるため,臨床上,有益な結果が得られたと示唆される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
共同研究者が所属する医療法人豊和会の掲示板にて対象者を募り,研究における詳細を各個人に説明した.その結果,21名から本研究に関するインフォームド・コンセントが得られたため,21名のデータ計測を実施している.計測における離脱者は現在おらず,痛みや著しい疲労感,倦怠感の訴えもみられていないため,継続的なデータ計測が可能であると判断している. 論文作成も順調に進行しており,現在進行している第1報はデータ計測および解析がすでに完了し,理学療法関連の英文雑誌への投稿準備中である. 平成28年度研究計画(体組成計を用いた1RM推定方法の妥当性の検証)および平成29年度研究計画(Hand-Held Dynamometerを用いた1RM推定方法の妥当性の検証)を1本の論文にまとめる(現在進行中の第1報)ことで論文として質的担保を図り,平成30年度研究計画(力と速度の関係を用いた1RMおよび最大等尺性トルク推定方法の妥当性の検証)を2本の論文(第2報,第3報)として作成する.第2報,第3報に関する研究計画もすでに着手しており(下記の推進方策を参照),第2報,第3報で必要となるレッグエクステンションマシンの改良も完了している.レッグエクステンションマシンの改良は,求心性収縮のみを測定するため、レッグエクステンションマシンの軸にラチェット機構を搭載し、膝関節の伸展運動後、レッグエクステンションマシンのアタッチメントが止まるよう改良している.当年は平成28年度研究計画から平成30年度研究計画までのデータ計測を中心に行い,概ねのデータ計測が完了している段階にある.今後は,データ解析および論文作成を行い,第2報,第3報へ繋げていく.また,本研究の研究成果を社会・国民の発信する方法として,学会誌への投稿のみで無く,平成30年度には,理学療法士・作業療法士の運営する関連学会での発表を予定している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画は下記の通りである. 1) 先行研究では,膝関節伸展は単関節の角運動であり,関節トルクと角速度を用いることで,より正確な回帰式を求められることが予測される.しかし,レッグエクステンションマシンの構造上, 膝最大伸展後に重錘の自由落下による下肢が膝屈曲方向へ押し戻される現象が起こる. そのため,膝伸展動作時から膝伸展後の重錘を支持しようとする意識が働き,求心性収縮の最大発揮が不完全である可能性が考えられる.そこで,膝関節回転軸の逆回転を防止するようにレッグエクステンションマシンを改良し,膝伸展運動の1RM,その相対負荷量である%1RM,角速度の相対信頼性を級内相関係数にて求める.級内相関係数では検出できない系統誤差を弁別するためにBland-Altman analysisを用いて絶対信頼性(加算誤差,比例誤差)の検証も行う. 2) 1 RMとなる錘の質量を100%と定義し,40%,60%,90%,100%,130%,150%1RMの6負荷を決定する.その後,各%1RMでの角速度と関節トルクの測定を3回行い,最大トルクの予測値を算出する.膝関節伸展における等尺性最大トルクの実測値は,世界的に信頼性と妥当性が報告されているapparatus for measuring the muscle torque(Biodex System 3,Biodex, USA)を用い測定する.データの解析は%1RMを従属変数,運動速度を独立変数として,単回帰分析を行う.さらに,対象者毎に求めた回帰直線より算出した等尺性最大トルクの推定値とapparatus for measuring the muscle torqueにて測定した実測値との相対信頼性を級内相関係数にて求める.級内相関係数では検出できない系統誤差を弁別するためにBland-Altman analysisを実施する.
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Causes of Carryover |
研究備品が安価で可能であったこと、研究収集と分析に時間を要し論文投稿までに時間を要したことから、経費を次年度に持ち越して、英文校正ならびに掲載料に使用したい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究データ保存用HDD、英文校正ならびに掲載料に使用したい。
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