2017 Fiscal Year Research-status Report
外遊び環境への接近性と子どもの発達に関する参加型地域研究の試み
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16K01602
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
吉永 真理 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (20384018)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 遊び環境 / アクション・リサーチ / 地理情報システム / 子ども / 外遊び / 心身発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 小学校における調査 児童、保護者への質問紙調査を実施した。対象は調査対象地域に位置する二子玉川小学校、砧南小学校、砧小学校の3校で、次年度に喜多見小学校に実施することで、砧地域の小学校はすべて網羅することができる。全校児童への実施については、家庭の負担を考えて、学校側の了解が得られなかったので、1、3、5年生での実施とした。調査内容は当初の予定通り、心身健康度、学習意 欲、学校適応度、遊びの実態、緑と青の環境への接近性(通っている頻度、活動 の内容、自宅からのアクセシビリティ等)を質問紙調査にて把握する。保護者に対しては、DSM-5のADHD関連項目を尺度化したもの、SDQ 、及び児の外 遊び環境への接近性の認識について質問紙調査にて把握した。緑の環境や水辺の環境との接近頻度によって、注意欠陥多動性症候群に関わる症状の出現頻度には有意差は見られなかった。しかし、仲間関係におけるトラブルの状況については、接近性が高い方が有意に問題が少ない傾向があった。 2. 児童のGONOGO測定 質問紙調査対象校の3校の親子参加のまち探検ワークショップを2回実施、GPS装着して遊び行動を把握した。そのうち1校の14名の児童についてGONOGO測定を実施した。 3. アクション・リサーチによる遊び環境の課題の共有 質問紙調査結果、まち探検ワークショップでのGPS軌跡、GONOGO測定結果は調査対象者にフィードバックし、次年度に実施するまち探検ワークショップの計画を共に考える際の資料とした。さらに、1校の保護者は調査結果から自分たちの外遊び環境についての問題意識をまとめ、地域のPTA活動発表会でポスター発表を行った。さらに、世田谷区全域を対象に外遊びの推進を掲げる「そとあそびプロジェクト・せたがや」にも質問紙調査結果についてはフィードバックし、今後の活動展開にいかしてもらえるよう資料提供した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)小学校における子どもと保護者を対象とする質問紙調査が、あとから追加となった1校以外は終了した。追加になった1校は調査を終了した学校の校長先生より提案があったもので、当該地域の子どもの遊び環境について把握するには、4校のデータが必要との指摘であった。2校分は結果の解析も終わり、フィードバックも終了した。 2)そとあそびプロジェクト・せたがやの活動も進展し、4月にネットワーク会議が開かれることになっている。砧地域の遊び場づくりも住民組織による会議体が回を重ね、いくつかの地域で実際に遊び場活動を実施している。地域参画型研究として実践できるよう、さらに協働を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
1)遊び場探検ワークショップ 最終年度は砧地域の4校の児童と保護者を対象に遊び場探検ワークショップを行う。子どもたちに緑や青の環境の大切さを認識してもらい、実際にどのような遊び場が欲しいのか、考えてもらえるような内容とする。地域参加型研究、特に、子ども参画による遊び場づくりが実現するよう、自治体の担当課も巻き込みながら、調査研究を進めたい。研究結果を被調査対象者に返しながら、共有し、改善していくアクション・リサーチを引き続き行う予定である。 2)ワークショップデータの解析 地域の緑と青の環境の量的把握を行い、ワークショップ中の活動をGPS軌跡からデータ化する調査を富山大学大西准教授との協働により実施予定である。
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Causes of Carryover |
年度内にまち探検ワークショップを1回程度実施予定だったが、代表者の健康上の理由により実施ができなかった。ワークショップ実施時の消耗品や人件費が使用できなかった。次年度、ワークショップ開催時に使用予定である。
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Research Products
(3 results)